滴下するのは肩甲骨間の背面部皮膚と記載されている。要するに「首の付け根」である

 猫のノミダニ予防といば、かつては首輪タイプのものがありましたが最近ではあまり見なくなりました。代わりにスポットタイプといって、首筋に滴下するタイプが主流になりました。滴下タイプも以前はノミとダニだけ予防していましたが、現在は効能の範囲が広がり、サナダムシやフィラリアや、マダニにも効果があります。薬の種類が増えて、どの寄生虫に適応しているのか混乱しやすいため、今回のブログで一旦まとめようと思います。

各薬と適応の寄生虫

どの薬がどの寄生虫に効果があるかは下表の通りです。スポットタイプの薬は1回の投与で1ヶ月効果が持続しますが、ブラベクトプラスだけ1回の投与で3ヶ月効果が持続するという特徴があります。

 

各寄生虫の特徴

ノミは全ての薬の適応に入っていますが、それ以外は各々の薬で若干適応が異なります。自分の猫にどの薬が合っているかは、各寄生虫の特徴を知る必要がありますので、簡単に解説していきます。

ノミ

最も有名な寄生虫です。体長は2mm程度で、肉眼で確認できます。ノミのフンが、猫の毛や猫が寝ていた場所に落ちるため、ノミフンから感染が発覚することも多いです。ノミフンは水に溶けると茶色く濁る特徴があり、フケやゴミと区別することができます。感染経路はノミが直接とび乗って感染します。他の動物(散歩で外に出た犬など)や人間の衣類について室内に持ち込まれることもあります。ノミの症状としては吸血による貧血や痒みのほか、ノミアレルギー性皮膚炎、後述する瓜実条虫の感染などが挙げられます。

ミミヒゼンダニ

名前の通り耳に感染するダニです。体長は0.2~0.5mmで、肉眼では見えません。感染経路は感染した動物との接触で、キャッテリーや保護施設で感染しやすいです。ミミヒゼンダニに感染すると耳を頻繁に掻く、耳垢が増える症状が出ますので、その場合は必ず耳垢検査を受けましょう。症状としては強い痒みで、血が出るほど掻いてしまいます。

マダニ

この中で最も危険な寄生虫です。体長は3~8mmで肉眼で確認できます。吸血するとさらに10倍くらいに膨れ上がるためいっそう容易に確認できます。感染経路はマダニが直接とび乗って感染します。マダニは草むらに生息しており、公園や歩道の茂みにも隠れています。マダニに咬まれると重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に感染する可能性があります。この病気は人にも感染し、死亡例も相次いでいる感染症です。SFTSは西日本での発生が主でしたが、近年は関東(千葉)での発生が報告されています。それ以外にも貧血を起こすヘモプラズマ感染症もマダニによって媒介されます。

フィラリア

犬糸状虫とも呼ばれるように、犬の感染症だと考えられていましたが、猫にも症状が出ることがわかってきました。血液中に感染するため、外見上は確認できません。感染経路は感染した蚊に刺されることで猫の体内に入ります。猫はフィラリアにとって好ましい宿主ではないので、体内で成長することは少ないです。フィラリア症の猫は決して数は多くないですが、症状としては急性の呼吸器症状(急に苦しがる、肩で呼吸をする)や、突然死などがあげられます。

内部寄生虫(回虫/鉤虫/条虫)

いわゆる寄生虫というと、細くて白長いサナダムシを思い浮かべる方が多いと思います。それが内部寄生虫です。感染経路は主に経口感染で、虫卵を含んだ他の猫の便や、感染した動物(回虫:ネズミ、ミミズなど、条虫:カエル、ヘビ、ノミなど)が口に入ると感染します。症状としては下痢や嘔吐などの消化器症状、体重が増えない、元気がないなどが挙げられます。

ハジラミ

ハジラミはノミのように皮膚に付着しますが、血を吸うのではなくフケや分泌物を食べて生きています。体長は1〜11.5mmで毛に白い点のように見えます。感染経路は感染した動物との接触です。症状としては痒み、皮膚炎などを起こします。猫に感染するハジラミは人間には感染することほ基本的にありません。

まとめ

スポットタイプは猫が口にしないよう気をつけましょう

ノミやマダニは犬と一緒に飼っている、ベランダを含め外に出ることがある猫は予防した方が良いでしょう。不思議と立派なマンションで飼われている猫でもノミがいることもあります、一度ノミが出た家は予防を継続した方が良いでしょう。西日本ではSFTSを媒介するマダニにより注意しましょう。

内部寄生虫やミミヒゼンダニは多頭飼育の家で蔓延していることがあります。そして室内飼育でも感染リスクがあるのが、蚊が媒介するフィラリアです。ハジラミは都心部では滅多に遭遇しませんが、出た場合はフロントラインプラスのみが適応になります。

当院では室内飼育の患者さんが多いので、フィラリアまでカバーしているレボリューションプラスを使っています。レボリューションプラスは副作用はほとんどありませんが、投与部位の痒み、脱毛、発赤、そして一過性の流涎(よだれが出ること)が報告されています。各薬の特徴を理解した上で、自身の猫の飼育環境にあった寄生虫予防をしましょう。

 

参考資料

ブロードライン https://www.boehringer-ingelheim.jp/animal_health/products/broadline

レボリューションプラス https://www.zoetis.jp/ca/cats/revolution-plus/vets/disinfection/

アドボケート https://jp.mypetandi.com/pet/products/advo-c.html

フロントラインプラス https://www.boehringer-ingelheim.jp/animal_health/products/frontline_plus

ブラベクトスポット https://www.bravopets.jp/vet/item/cat.php

関東でのSFTS発生報告 https://www.niid.go.jp/niid/ja/sfts/sfts-iasrs/10449-497p02.html

“猫のノミダニの予防まとめ(寄生虫予防)” への4件のコメント

    1. ご指摘ありがとうございます、修正致しました。他の薬剤も再度確認しました

      1. 猫のフィラリア予防についてお聞きしたいです。
        突然死というリスクは理解し、感染率も最近猫では以前言われていたよりも多いという記事もたくさん読みました。
        しかし実際感染したとしても猫の体内でフィラリアが生存できる確率はかなり低いとも書いてあるのと、フィラリアの体内の動きをみると2ー3ヶ月ほど成熟に時間がかかるともあるので……
        予防はしたいのですがお薬を不用意に使うのもいかがかなと思っていて、
        2ヶ月に1回の投薬では意味がないでしょうか?
        お返事よろしくお願い致します

        1. るるさん コメントありがとうございます。2ヶ月に1回の投薬ですが、基本的にはお勧めしません。おっしゃる通り猫の体内ではフィラリアは増えませんし肺に到達するまで成長するのに2〜3ヶ月かかります。ですが原則としてフィラリアが体内にいるときに駆虫薬を使用するのは、死亡したフィラリアがめ悪さをして強い炎症を起こす可能性があるため推奨できません(駆虫薬の能書にはフィラリアの有無を確認すること、と記載されています。実際には猫のフィラリアの検査は非常に複雑なのですが)。なので駆虫薬を使用するのであれば、連続で使用し体内で成長する時間を与えずに使用する方が安全かと思います。フィラリアのリスクは、地域や生活環境によって異なりますし、おっしゃる通り不用意に薬を使うのもよくありません。かかりつけの獣医師とよく相談して、使用するか否かを決めることをお勧めします。

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