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猫は健康でも吐くことがあります。私たち人間も嘔吐しますが、ノロウィルスなどの重篤な病気に限られます。嘔吐という症状は人間と猫ではその意味合いに大きなギャップがあるのでしょう。

猫が他の動物よりも吐くのが多い理由として獲物を丸呑みにするので被毛や骨など不必要なものを吐くと考えれています。同じ肉食動物である猛禽類も獲物を丸飲みにし、不必要な部分は吐き出します。

猫が嘔吐をする他の理由の1つに毛球症があります。猫が毛づくろいをした際に飲み込んだ被毛が、胃の中で球になると猫は詰まらないように吐き出します。猫は平均3.6時間も毛づくろいをしているという報告もあり、起きている時間の25%は毛づくろいをしています。猫の舌にはザラザラした突起がついています。長時間のグルーミングとザラザラ舌を考えれば大量の毛玉を飲み込んでしまうのも仕方ないでしょう。

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 毛の長さによって吐く頻度はどのくらい違う?

毛玉を吐くの頻度も猫によってバラバラです。全く吐かない猫から週に何回も吐く猫もいますが、毛球症はやはり長毛猫の方が起こりやすいです。

毛玉が詰まってしまった猫の報告では5例中4例が長毛猫でした。短毛種の中でもアビシニアンなどさらに毛が短く、より毛球症は起こりにくいようです。

また健康な猫の飼い主さんを対象に行ったアンケートでは、長毛種の方が短毛種よりも約2倍毛玉を吐くことがわかりました。そのため短毛種なのに吐くことが多い場合は、なにかしらの慢性的な異常がある可能性があります。

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反対に長毛種であっても24%は全く毛玉を吐かないという結果も「長毛種だけど毛玉を吐かなくて心配です」という方に対しても良い回答になると思います。

 毛玉がたまりやすくなる病気

皮膚病があると被毛を舐める頻度が増え、毛玉がたまりやすくなります。特に痒みが強く出る病気として、アレルギー性皮膚炎、ノミ・ダニ寄生、真菌症などがあげられます。またストレスや不安などにより過剰に皮膚を舐めすぎてしまう心因性脱毛も被毛を飲み込んでしまいます。頻繁に毛玉を吐く場合はこういった病気がないかチェックしましょう。

毛玉を吐きやすくなる病気

食道、胃、十二指腸(上部消化管)に慢性的な病気があると吐く頻度が増えます。通常は毛玉を吐かない猫でも、実際には被毛を飲み込んでいるので他の病気で吐いた時に毛玉が混じることがあります。

見かけ上毛玉が原因で吐いているようにみえますが、実際には病気が隠れているがあるので注意が必要です。具体的には食物アレルギー、炎症性腸症、リンパ腫などです。

毛球症を防ぐには?

1.ブラッシング

特に長毛種の場合、ブラッシングを行わないと毛玉ができてしまうことがあります。ブラッシングにより無駄な被毛を取り除き、猫が飲み込んでしまう量を減らしましょう。また毛玉症で頻繁に吐いてしまい、かつブラッシングをすごく嫌がる猫では、飼い主さんと相談して毛をカットすることもあります。

2.フード

いくつかのフードのラベルにはヘアボールコントロールや毛玉ケアと書かれています。これはフード中の食物繊維の量を増やすことで、消化管の動きを促す狙いがあります。毛玉が長期間お腹の中に留まると、より固くなり、つまりやすくなってしまいます。お腹の動きを促し、便と一緒に毛玉を排泄することができます。

他にもウェットフードの方がドライフードよりも、ドライフードでも三角の粒のフードよりも丸い粒の方が、大きな粒よりも小さな粒の方がフードが胃や腸の中を進むのが速いです。毛玉予防フードを食べない場合は、このようなことを考慮して排出の速いフードを選びましょう。

また一度に沢山の量のフードを与えるよりも、少量のフードを分けて与えた方が、より腸の動きが早くなります。そのため、改善がみられない場合は食事を分けてみるのも1つの選択肢になります。


3.サプリメント

毛球症予防のサプリメントには流動パラフィンやワセリンなどが含まれています。これらの成分はお腹の中で吸収されないため、便の排出を促します。フードと同様、お腹の動きを促し毛玉が大きくなる前に排出を促します。

これらは臭いや味がないため、食事に混ぜても猫は嫌がらないことが多いです。ただし誤嚥して肺に入ってしまうと重篤な肺炎を起こすため、注射器などで強引に飲ませてはいけません。

これらのサプリメントは人工物なので飼い主さんは長期的な使用に対して不安があるかと思います。流動パラフィンは脂溶性ビタミンの吸収を阻害する可能性があります。猫での研究はありませんでしたが、人間では流動パラフィンを長期的に使用しても大きな副作用はなかったと報告されています。基本的には長期的に使用して問題ありませんが、用量を守り、少しでも異常がでた場合は早めにかかりつけの獣医師に相談しましょう。

4.ネコ草

ネコ草を食べることで、消化管が刺激され嘔吐を促すのではないかと考えられています。またネコは食物繊維が不足がちになりますので、補給するために食べているという説もあります。ネコ草についてより深く知りたい方は→こちら

これらの予防法を試しても、効果が上がらない、再発を繰り返す場合はかかりつけの獣医師に相談してください。内服薬を使用することもありますが、その場合は内服薬を使うことによるメリットが、副作用よりも大きい時に限られます。

こんな時は注意 3ポイント

  • 短毛にもかかわらず頻繁に毛玉を吐く
  • 昔は吐かなかったが、最近頻度が増えてきた
  • 食欲不振や体重減少が同時にみられる

※嘔吐について詳しくはこちら

まとめ

毛玉を吐くことは猫ではよくみられ行動ですが、皮膚病や消化器の病気が原因で起こっていることがあります。特に上記の3ポイントに当てはまるときは注意が必要です。長毛種では約2倍の頻度で毛玉を吐くので、ブラッシングをかかさず行いましょう。反対に毛玉を全く吐かない猫もいますので、吐かないことは異常ではありません。判断が難しい病気なので、愛猫が毛球症でお悩みの方は一度かかりつけの動物病院で相談してみると良いでしょう。

参考文献

Martha Cannon, 2013. HAIR BALLS IN CATS. A normal nuisance of a sign that something is wrong ? Journal of Feline Medicine and Surgery (2013)15, 21-29

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