GESFとは猫の消化管に塊ができる病気です。正式名称が「消化管好酸球性硬化性繊維増殖症」と、あまりに長く、獣医師の間では「GESF=ゲスフ」またはGを取って「消化管のESF=イーエスエフ」と呼ばれています。ここではGESFと呼びます。

GESFは無麻酔でできる針生検では診断がつかないいことがしばしばあり、手術または内視鏡の病理組織検査が必要とされています。治療はプレドニゾロン(通称ステロイド)が効果的で、症状の改善と塊の縮小が期待できます。

通称:ゲスフ

GESFは2009年ごろから報告されるようになった病気で、これまでまとまった報告がありませんでした。これまでわかっていたことは以下の3つです。①消化管に塊を作るが腫瘍ではない、②ラグドールが発症しやすいが、その他の品種や日本猫でも発症する。③中年齢で発症が多い。

今回の報告は日本を含む複数の国が協力してGESFの猫60匹(GESFが稀なので猫医学の報告としては結構多いです)をまとめています。私の知り合い獣医師も共同執筆者に名前を連ねています。治療効果、予後などGESFが臨床的にどのような病気なのかを解明することが、今回の論文の目的です。

今回の結果とそれに対するコメント

・年齢の中央値は5.4歳→過去の報告は7歳前後でしたので、概ね一致する結果でした。

・発症部位は小腸が最も多く(32%)、次いで胃(27%) →経験的には胃と回腸/盲腸部が多かったので、小腸が多いのは意外でした。

・15/60頭(25%)がラグドール。それ以外ではエキゾチックショートヘア6頭、ペルシャ5頭、メインクーン3頭、バーマン2頭→過去の報告と一致します。ラグドールがもっと多い印象があり、1/4程度なのは意外でした。

・30/57頭(52%)で好酸球増加症が認められた→血液検査からも疑うことができるかもしれません

・針生検での細胞診は10/22頭(37%)で好酸球性炎症が認められたが、それ以外は診断不可能、壊死、混合性炎症を示した。腹部リンパ節の針生検ではほとんどが非診断的であった→やはり診断には組織検査(手術または内視鏡)が必要だとわかります

・59/60頭がプレドニゾロン(いわゆるステロイド)で治療した。中央値32日でプレドニゾロンの量が変更された。→腫瘤が小さくなるのに時間がかかることがわかります

・プレドニゾロンの最低容量が投与されるまでの期間の中央値は369(IQR 195〜841)日であり、その最低容量の中央値は0.65(IQR 0.4~0.9)mg/kg/日であった。→症状が抑えられればプレドニゾロンを減らしていけるのですが、ゆっくりと量を減らしていることがわかります

・13頭がプレドニゾロンを中止したが、そのうち11頭で再発が見られた→治療を完全に止めるのは難しそうです

・論文発表時点で53/60(88%)が生存していたため、生存期間の中央値は推定できない。→適切に治療すれば長生きできることがわかります

まとめ

これまでの報告と一致することが多いですが、頭数が多いためより信頼性が高い結果が得られました。GESFの診断には組織検査(手術または内視鏡)が必要なこと、治療にはプレドニゾロン(いわゆるステロイド)が必要なことが改め示されました。

組織検査は麻酔が必要ですが、治療することで長期生存可能な病気なので、しっかりと腫瘍と区別しておくことが大事でしょう。今回ほとんどの猫が生存していたため、どのくらいの生存期間なのかは分かりませでした。生存期間については今後の報告で明らかになることを期待します。GESFは比較的最近、知られるようになった病気ですが、徐々にどんな病気なのか分かってきました。飼い主さんもデータがあると安心なので、とても有意義な報告だったと思います。

その他気になったところ:メモとして

・抗菌薬は43/60(72%)で処方され、平均投与期間は34(7~204)日であった。・免疫抑制剤(シクロスポリンまたはクロラムブシル)は14/60(23%)に処方された。・加水分解食を投与された猫の41%は、飼い主が症状を改善したと報告した(但し全ての猫でも内服治療も併用していた)・腫瘍の外科的切除と生検のみの猫では生存率に差はなかった。・消化管穿孔を起こしている猫はいなかった。・エコー検査をした猫の36%は腹水貯留がみられた

参考資料

Černá, Petra, et al. “Clinicopathological findings, treatment, and outcome in 60 cats with gastrointestinal eosinophilic sclerosing fibroplasia.” Journal of Veterinary Internal Medicine (2024).

 

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