猫の心拍数の正常値をご存知でしょうか?猫は1分間で140〜220回といわれています。人間の心拍数が1分間あたり60〜90回ですので、人間の倍以上心拍数が速いことがわかります。今回は猫の心拍数の測り方を解説します。

(参考資料:小動物臨床のための5分間コンサルタント第3版)

動物病院が飼い主さんに猫の心拍数を測ってくださいとお願いするのは、やはり心臓病の時です。特に猫は肥大型心筋症(HCM)という病気が多く、これにより不整脈や頻脈が出ているときでしょう。例えば心拍数を抑える薬を処方した場合、心拍数が抑えられ過ぎても心臓によくありませんので、自宅で心拍数を測定できるようになっておくと安心です。

心拍数の測り方

1.聴診器を用意する

指を心臓や、後ろ足の付け根にある太い血管(股動脈)に当てるだけでも測定することができますが、安価に聴診器が手に入るため聴診器を購入することをオススメします。聴診器の値段はピンキリですが、心拍数をとるだけであれば2000円以下のもので十分です。

(Amazonで購入できる安価な聴診器)

 

2.聴診器を猫にあてる

聴診器が届いたら早速、猫にあててみましょう。当てる場所は上の図のターゲットマーク付近です。猫も左の方が心音が強いので左の腕の間に滑り込ませるように聴診器を入れましょう。心拍数は人間よりはるかに速いですが、音の質は同じなので事前に一度自分の心音を確認しておくと探しやすいでしょう。肥満の猫は心臓を見つけることが難しい場合があります、ちょっと下(胸骨)の方から当てると聞こえることが多いです。

 

2.1 ちょっと詳しい聴診部位

飼い主さんが通常ここまで細かく聴き分ける必要はありませんが、知識として心臓がどこらへんにあるのか、どこに弁があるのかを知っておくとよりイメージがわきやすいと思います。心音は弁の開閉に伴いドッという音がなっているからです。

(猫のレントゲン写真。各弁の位置と、肋骨の番号。肋骨の5〜7番目に位置する白いものが心臓。)

弁の名前 左右 聴診部位
僧帽弁(MV) 左側 第6〜7肋骨の間:胸骨から1/4背側
大動脈弁(AV) 左側 第3〜4肋骨の間:肺動脈弁の背側
肺動脈弁(PV) 左側 第3〜4肋骨の間:胸骨から1/3〜1/2背側
三尖弁(TV) 右側 第5〜6肋骨の間:胸骨から1/4背側

(参考資料:小動物の心肺の聴診 ファームプレス)

3.心拍数を計算する

心拍数を1分間測り続けるのは大変なので15秒でカウントし4倍することで1分あたりの心拍数を算出しましょう。10秒測って6倍しても良いです。

例)15秒で45回だった場合 45回×4=180回/分

4.猫の心拍数の正常値

猫心拍数の正常値は上記の通り140〜220回/分です。この数値はもちろん興奮すると上がるので安静時に測定しましょう。また、どのくらいの心拍数を異常とするかは猫の状態によっても異なりますので、主治医の指示を仰ぎましょう。

5.なぜ自宅で測るのか

心臓は精神状態に影響されやすい臓器です。緊張すると、どうしても心拍数が多めに出てしまい、病院と自宅で測定値に大きなズレがでてしまうからです。ある研究では自宅と病院での心拍数を比較したところ、自宅では平均132回/分だったのが、病院だと187回/分になってしまったと報告しています。

(参考資料:Abbott JA1.『Heart rate and heart rate variability of healthy cats in home and hospital environments.』J Feline Med Surg. 2005)

まとめ

心拍数の測定は少し練習すれば決して難しい検査ではありません。猫の性質を考えると自宅での測定値の方が真の値に近いことは一目瞭然です。もし動物病院で心拍を測定するよう指示が出たらこちらのページを参考にしていただけたら幸いです。

最後に猫の心音を12時間流している動画あったので貼っておきます

“ 猫の心拍数の測り方” への2件のコメント

  1. 私たちの猫は20歳になりました。足腰は弱くなりましたがまだ食事も適当にありますがそろそろ終末も考えています。

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