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猫の集会とは夕方から夜にかけて、ノラネコが空き地や駐車場で開催する会合です。獣医学の本には、主に縄張りの中立地に地元の外猫が集まり、約4mの距離を保ち、ゆるやかな円を描いて座る、と記されています。そしてそのまま静かな集会は数時間続き、終わるとそれぞれの縄張りに帰って行きます。

特に会話をするわけでもなく、各自毛繕いや昼寝をするだけ。10匹以上の猫が集まる集会からは異様な雰囲気が発せられています。

猫の集会の参加資格

猫の集会の参加資格は地元の猫みんなにあるようです。特に喧嘩が強いオス猫や、年配猫だけでなくメス猫やメス猫に連れてこられた子猫も参加しています。

ノラネコしか参加してはいけないわけではなく、人間に飼われていて出入り自由の猫も参加しています。自分の家の猫が集会に参加している姿を見つけると、授業参観で子供を見つけるような気持ちになるでしょう。

なぜ猫は集会を開くの?

様々な仮説があり、はっきりとした理由は不明です。本来猫は単独狩猟動物です。つまり、交尾や子育ての時期を除いて他の猫と接触することは殆どありません。なぜこのときだけは集合するのでしょう。

仮説1:地域コミュニティの形成

猫は非常にテリトリーに敏感な生き物です。

ヤマネコのテリトリー

人間の生活圏の外で住んでいる猫、いわゆるヤマネコ、は広大な土地の中で、食料が分散されている環境にいます。そのため猫が一極集中することはなく、お互いのテリトリーには進入する必要がありません。

しかし人間と共生している猫の食料は残飯や、一部のエサをくれる人間です。そのため食料が一部に集中し、猫もそこに集まります。

その結果人間と共生するイエネコは食料が集まる一部のエリアの周囲に各自のテリトリーを持ちます。食料をえるためには他猫のテリトリーの近く、またはテリトリーを超えて行かなくてはいけません。

都心で暮らす猫のテリトリー

共通のえさ場を地域の猫たちで守るために協力しているのではないでしょうか。そのために定期的に猫集会を開き新参猫が来ていないか、じいさん猫が亡くなってテリトリーが変わっていないか、などを確認しているのです。

猫は昔から非社会的でお互いが協力することはないと長年信じられてきました。しかし最近では特に都心部の猫において「共通する利益があれば、血縁関係のない猫間でも協力行為をする」という考え方も受け入れられるようになってきました。

仮説2:政治的な話し合い

仮説1から一歩進んだ説です。いわゆるボス猫を決めようとする会議が行われているのではないでしょうか。ぱっと見、人間からは静かしているようですが、実は位置取りやポーズで他の猫を牽制しているのかもしれません。

犬や猿の社会では1頭ごとに明確な順位が決められており、これを直線的順位制度と呼びます。

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またネズミや魚の群れでは1匹だけのリーダーを選び、それ以外は平等な社会です。これを独裁制度と呼びます。

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しかし猫はこういった制度を採用していません。集団で生活する猫でさえも殆どの時間を一人で過ごします。支配的な雄猫が現れることはあっても、犬や猿ほどの特権が与えられる事はありません。

 

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よって現時点では政治の話し合い説の信憑性は低いです。しかし上記のような猫の集団を調べた研究は農場などの猫を対象にしています。都会の密集エリアではリーダー猫が存在するのかもしれません。

仮説3:猫の街コン

繁殖シーズンに限れば、相手探しの意味合いもあるようです。実際に集会中に交尾をする姿を目撃したという情報もあります。

しかし繁殖シーズン以外にも猫の集会は開催されていることから、これがメインの目的とは考えにくいでしょう。

 

仮説4:深い理由は特にない

人間は猫をみると、その行動1つ1つに理由があるのではないかと考えます。しかし猫の性格から察するに深い理由はなく、「たまには他の猫でも見に行くか」程度の気持ちで集会に行っているのかもしれません。

「野生動物の行動に意味が無い行動は無い」とも言われますが、人間と共生している猫は野生と飼育下のちょうど間。そういった行動があってもおかしくはないのではないでしょう。ここまで読んだのに「結局ないのかよ」と思われるかもしれませんが、これも重要な仮説の1つです。

 

さて今回は4つの仮説を紹介しましたが、一番有力なのは仮説1です。猫の2種類のテリトリーをもっているといわれ、1つは生活するためのテリトリー、もう1つは狩りをするハンティングテリトリーです。

都会に住む猫のハンティングテリトリーは他の猫と大きく重なってしまいます。そのたびに喧嘩していては体が持ちません。食料を確保するために、単独生活を諦め徐々に社会的な暮らしをするように変化して来ているのではないでしょうか。

個人的には仮説4でもおかしくないのではと思っています。一度猫に扮して猫の集会に参加してみたいものです。

“〜猫の集会〜 その開催理由と参加資格” への5件のコメント

  1. 猫の集会のことを指す意味の専門用語(カタカナ言葉で)を
    昔に(20年以上も前)本で読んだことがあるのですがその言葉は
    何だったのか思い出せません。ご存じでしょうか?
    キャトルミューティレイション?これは(笑)UMA用語ですが・・なんか
    こんな感じの響きだったような?いや?ほにゃらやらサークルだったか?

    1. 山猫軒さん
      こんにちは私が持っている英語の行動学の本では 「neighborhood meeting」または「social gathering」と記載されていました。そのままカタカナにしてネイバーフッドミーティング、またはソーシャルギャザリングでしょうか。
      気になりますね。

  2. うちの駐車場ではよく猫の集会があります。そしてなんと、話し合いをしてるのです。驚きました。

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