前々回のブログ(ウェットフードと歯周病の関係)で歯科用サプリメントを調べたところ、VOHC(獣医口腔衛生諮問会=Veterinary Oral Health Council)という団体があることがわかりました。この団体は基準を設け、それをおクリアしたフードやサプリメントを認定してます。猫用でも、サプリメントの中にはこれって効果あるのか正直怪しいものもあるので、こういう制度があると選ぶ時に参考になります。

VOHC承認リストの日本で購入できるものを抜粋

その中でも今回は、投与しやすいパウダータイプの「プロデン デンタルケア」について調べました。パウダーは何よりもフードにかけるだけなので、ハードルの低さが段違いです。歯磨きは全然無理、フードを食べない、トリーツは噛まないで丸呑み、という猫でもパウダータイプの歯科サプリは続けられるかもしれません。

プロデンの中身

Ascophyllum nodosumの画像:wikipedia

プロデンの成分は海藻です。アスコフィルム・ノドスム(Ascophyllum nodosum)という北大西洋の海に浮かんでいる流れ藻です。人や動物用食品として加工されたり、農業の肥料として使われます。

アスコフィルム・ノドスムの効果

グラフ

この研究では歯を綺麗にした後に、アスコフィルム・ノドスムを含むサプリを与えたグループ(投与群)と与えなかったグループ(コントロール群)の歯科スコア(OHI:オーラルヘラスインデックス)を比較しました。その結果、投与群の方が有意に歯科スコアが低いことがわかりました。

歯肉炎:歯肉組織の炎症。歯周炎:歯肉炎+周囲組織の破壊を伴う炎症。不可逆的。

 

なにが有効成分なのか?

この海藻の何が有効成分なのかを特定す流にはもう少し検証が必要なようです。可能性としてはフェノール、ヨウ素、そしてフコデインが考えられています。フコダインとはいわゆる滑り成分で、細菌の付着やプラークの沈着を抑制する働きがあります。それ以外には亜鉛、シリカ、硫酸塩なども含まれます。

副作用はないか?

大きな副作用はありませんが、尿のpHが上昇したという記録があります。ストルバイト尿症を患ったことがある猫は少し気をつけた方がいいかもしれません。またヨウ素を多く含むので、甲状腺機能亢進症の猫、妊娠中の猫には使用しない方が良いと記載されています。

味は?

封を開けると匂いは昆布です。少し食べましたが、若干の塩っけがある程度で、苦いみや酸味は感じませんでした。猫はアミノ酸の味が好きなので、と比べて昆布の旨味は嫌いではないのか一般的や薬やサプリメント嗜好性は良いです。ただ、やはり食べない猫はいるようで、報告では4匹は食欲が低下したと記録されています。

まとめ

口腔内ケアの第一選択は歯磨きで間違いありませんが、歯磨きをさせてくれる方猫の方が少ないのが事実です。むしろ歯磨きができる猫は1割ぐらいしかいないのでは、と感じています。うちの猫も3匹中1匹しかできません。報告でも猫の歯科ケアができているのは5%のみというデータがあります。

現実的にできるデンタルケアとして、食事混ぜるタイプのサプリメントを紹介しました。サプリメントはたくさん種類があるので何を基準に選べば良いかわからない、という場合は上記のVOHCを参考にすると良いでしょう。

参考文献

Gawor, J., Jodkowska, K., & Jank, M. (2013). Effects of an Ascophyllum nodosum formulation on oral health index in dogs and cats. Weterynaria w Praktyce10, 74-79

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