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この猫はイタリアのでぶ猫ちゃんです。16kgあるそうです。かなりの肥満でボディコンディションスコア(ボディコンディションスコアの説明はこちら)は5以上でしょう。猫でも当然肥満になると病気のリスクが上がります。では具体的にどう悪いのか??今回は肥満リスクについて病名を上げて説明して行きましょう。

1糖尿病

猫の糖尿病は2型糖尿病が大部分を占めます。肥満になるとインスリンに対する抵抗性が上昇し、インスリンが効きづらくなり血糖値があがってしまいます。具体的に健康的な体重の猫と肥満猫を比較した2005年の研究ではオッズ比2.2で肥満猫が糖尿病になりやすいと報告されています

オッズ比:統計学の言葉。単純に2.2倍糖尿病になりやすいわけではありません。オッズ比が高い=その病気との関連性が高いことを意味します。詳しく知りたい方はこちらのサイトがわかりやすくオッズ比の説明をしているので参考にしてください。

2皮膚病

意外かと思われますが皮膚病も肥満によってリスクが上昇します。

肥満猫は効果的なグルーミングができなくなってしまうことから、様々な皮膚病に罹りやすくなります(アクネ=顎ニキビ、脱毛症、フケ、皮膚糸状菌症など)。またお尻周辺が全く届かなくなると排泄物がくっついたままで不衛生な環境になります。

重度の肥満は運動性を低下させ褥瘡が発生してしまうこともあります。

3便秘、下痢

人間では便秘と肥満は関係があることが研究されています。猫は今のところ関連性は不明ですが、便秘がちな猫が肥満であることは多く経験しています。便秘が続くと巨大結腸症になってしまうので注意が必要です。

正常体型の猫と比べ肥満猫の方が下痢になりやすいことは研究で報告されてます。しばしば下痢になってしまうこは肥満が原因かもしれません。

4猫の肝リピドーシス(脂肪肝)

太った猫がなんらかの理由で食欲が落ちて、急速に体重が減ったときに発症しやすい猫特有の病気です。空腹状態が続くと体の脂肪が肝臓に動員されてエネルギーに変換されるのですが、その動員するスピードが速すぎて脂肪が肝臓を覆い尽くしてしまう病気です。

極端なダイエットをすることも肝リピドーシスのリスクになります。ダイエットするときは食事量を10%ぐらいづつ減らしてゆっくり痩せさせましょう。

急に体重が減って食欲がない、よだれが出てる、黄疸などが特徴的な症状です。肝リピドーシスは命にかかわる病気なので、これらの症状がでたら早めに動物病院にかかってください。

 5膀胱/尿道疾患

肥満になるとトイレに行く回数が減り、蓄尿量が増えることで尿石症、猫の特発性膀胱炎、尿路閉塞、尿路感染などのいわゆる猫の下部尿路疾患(FLUTD)リスクが上がると言われています。

猫の下部尿路疾患(FLUTD)は室内飼いであることもリスク因子です。肥満猫は室内飼いの可能性が高く、どちらがリスク因子になっているかは不明ですが運動不足が関係しているのではないかと言われています。

6口腔内疾患(歯石、歯周病など)

2005年に発表された研究では肥満は口腔内の病気との関連性があることが報告されています。オッズ比は1.4です。

なぜ肥満がこういった口の中の病気のリスク因子になるのかは不明です、この論文ではその理由を今後調べて行きたいと締めくくっています。

7心臓病

人間では肥満が血圧と心臓の負担を増加させることがわかっています。今のところ猫では肥満と心臓病の発症が関連しているという報告はありませんが、おそらく関係あるだろうと思われています。

 8関節炎

関節炎になっても、イヌのように明らかに歩行がおかしくなる猫は少ないです。もともと単独行動をしていた猫は怪我をしても周囲の獣から狙われないように怪我を隠す傾向にあります。猫は関節炎になっても段差を一気に降りなくなった、机からおりるときに躊躇する、など些細な症状しか出さないです。

最近の発表で、10歳以上の猫のは関節炎をもっている猫が今まで認識されていた割合より多いことがわかりました。

 

肥満と関連性が高い病気は口内炎やら、糖尿病やら下部尿路疾患やら猫に起こりやすい病気が多いですね。やはり猫も健康的な体重を維持することが長生きの秘訣だということがわかります。

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