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愛猫が食べているフードになにが含まれているのかは気になるところです。しかし、フードの成分表を見てみるとよくわからない言葉が沢山ありますね。今回はキャットフードに書いてある言葉を解説していきます。

1:使用目的

このフードはどのような目的で作られたかが記されています。ここには、「総合栄養食」「一般食」「療法食」「副食」「間食」などがあります。

総合栄養食

「猫が必要とする栄養素を全て含むフード。適切な量の総合栄養食と新鮮な水だけで健康を維持できるように調節されたもの」と定義されています。日本のペットフード公正協議会では米国飼料検査官協会(AAFCO)の基準を採用し、この基準をクリアしたフードだけが総合栄養食と表示することが許可されます。

一般食

一般食というと普通の食事、バランスがとれた食事をイメージしますが、そうではありません。私たちでいう「おかず」のようなもので一般食だけ食べていると栄養が偏ります。

療法食

病気の猫に対して特別に作られたフードです。獣医師の指示のもと与えることが前提となっています。

間食、副食

これらは「おやつ」やご褒美として限られた量を与えることを想定して作られたフードです。まさに「おやつ」なので、やはりこれらだけ食べていると栄養バランスが崩れます。

2:成分 保証分析値 (重量百分比)

ここではタンパク質〜%、脂質〜%と書いてあります。〜%「以上」と書いてあるのは最低この量は入っています、という保証をするために表示しているからです。成分の中で見慣れない言葉について説明しましょう。

灰分

灰分とはナトリウムやカルシウムなどのミネラルの総量を示しています。さらに細かく、マグネシウム~g、ナトリウム〜gなど個別に表示していることもあります。

粗 〜

タンパク質や、繊維の頭に「粗」という文字がついています。これは目的の成分だけを測定することが難しいため、「少し他のものもまざって計算している」という意味です。例えばタンパク質の場合、タンパク質のみを測ることは難しいため、窒素化合物を測定しそれに係数(×6.25)をかけてタンパク質の量を推定しています。窒素化合物にはタンパク質の他にアミノ酸やアンモニアも含まれるため、「粗」タンパク質と呼んでいるのです。繊維や脂肪も測定方法により、誤差がでるので「粗」という文字がつきます。

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粗タンパク質のイメージ図。実際には非タンパク質窒素化合物はタンパク質窒素化合物に比べ微量なので、粗タンパク質≒タンパク質と思って良い

粗〜〜というのは栄養学的には重要な概念ですが、一般的に成分表を見る場合はあまり気にせず、そのまま粗タンパク質=タンパク質と考えて良いでしょう。

炭水化物がないのはなぜ?

成分の欄をみるとタンパク質、脂質と並ぶ3大栄養素である炭水化物がないことに気づきます。これは「ペットフードの表示に関する公正競争規約」の成分表示の方法について細かく書いてあるのですが、そこに炭水化物や糖質の項がないからです。

これはAAFCOの基準に炭水化物の基準はないためだと考えられます。フードのラベルには記載がなくてもホームページ等で炭水化物の比率を公開している会社もありますし、(例 hill’s)下の計算でおおよその炭水化物の割合を求めることができます。

炭水化物(%)=100ー水分(%)ータンパク質(%)ー脂質(%)ー灰分(%)

3:原材料

2010年からペットフード安全法により全ての原材料の表示が義務化されました。表示の順番は含まれる量が多い順に表示するのが原則となっています。あまり聞きなれない原材料を解説します。

コーングルテン

これはトウモロコシからコーンスターチ(でんぷん)を製造する際にできる副産物です。糖質は殆ど残っておらず、タンパク質と線維が主な成分です。ペットフード以外にも肉牛や採卵鳥の飼料に使われます。

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出典:http://www.omatsu-nojo.or.jp/esafile/esa_guruten.html

ホミニフィード

これもトウモロコシからグリッツ(でんぷん部分を挽き割りにしたもの)を製造する際にできる副産物です。蛋白、線維、油分などを含んでいます。これも牛の飼料として使われます。

ビートパルプ

これは砂糖大根(シュガービート)から砂糖を抽出した副産物です。主な成分は線維です。こちらも牛や馬の飼料に使われます。食物線維は急激なエネルギーの吸収を防ぐ効果と、猫に満腹感を与えます。また整腸効果もあり、便の量が増えます。

加水分解〜

加水分解動物性タンパク、加水分解豚軟骨、加水分解甲殻類などがあります。加水分解とは文字どおり「水の作用により、分子を分解する反応」です。加水分解動物性タンパクというのはタンパク質をさらに小さいアミノ酸に分解しています。人間の加工食品にも、コクやうまみを加えるためにタンパク加水分解物が使われています。また甲殻類の殻はキチンという物質からなり、キチンを分解してグルコサミンにしています。

様々な酸化防止剤

BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、トコフェロール(ビタミンE)、アスコルビン酸(ビタミンC)、クエン酸、没食子酸プロピル、ローズマリー抽出物などは酸化防止剤として含まれます。酸化防止剤はフードの安全性を維持するために必要なものです。

まとめ

特に牛や馬の飼料に使われる言葉はあまり馴染みがないものが多いですね。家畜の飼料に使われるものがキャットフードに含まれていてショックを受けた方もいるかもしれません。家畜の飼料といっても、人間も口にしている砂糖やでんぷんを作るときの副産物なので安全性に問題はありません。

キャットフードの成分をネットで調べていると様々な噂がでてきます。例えば「ビートパルプには便意を感じる神経を麻痺させる化学物質が混ざっている可能性がある」などがありますが、この噂の出典は不明です。人のニュースでも産地偽装問題などが定期的に発覚しています。食品会社からの情報を鵜呑みにできないのも事実ですが、噂を信じる前にその根拠と出どこを確認しましょう。

また、やはり人間が食べるものを与えたいという場合は、手作り食かヒューマングレードと呼ばれるキャットフードが良いでしょう。ヒューマングレードとは原材料から製造過程まで人間の食品基準を遵守して作られたフードで、アメリカのアーテミス社が有名です。

私たちも同じ野菜を買うにしても、国産なのか、無農薬なのかによって値段が変わってきます。それは信頼性にお金を払っているわけです。コマーシャルやイメージだけでなく、実際に内容を確認し、納得がいったものを愛猫に与えることが大切だと思います。

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