猫好きにとっては有名な猫タケシに関するおはなしです。
南極物語といえばイヌのタロジロがあまりに有名ですが、実は猫も乗船していました。
それがタケシです。タケシは雄の三毛猫ということで航海の縁起が良いとされ乗船を許可されたのです。もともとタケシは動物愛護団体に保護されていたらしいのですが、南極観測隊の出港を知った女性がたけしの乗船を推薦したところ快諾されたそうです。
オスの三毛猫いついてはこちら
もともと名前はついていませんでしたが、第一次南極観測隊隊長 永田武から命名したとか。隊員たちは永田隊長に不満があるとタケシの頭をこずいていたというエピードがあります。
タケシにとってはアンラッキーだったかもしれません、雄の三毛猫に生まれたばかりに南極に連れて行かれるとは。
そんなタケシは隊員に非常に可愛がられ無事1年の南極観測を終えました。犬猫以外にも実はカナリアも南極に行っていました。イヌはもちろんイヌゾリを引っぱり、カナリアは中毒ガスの検知(カナリアは一酸化炭素やメタンをいち早く検出することができる)として働いていましたがタケシは昭和基地でひたすら隊員を癒していたそうです。
第二次南極隊が交代のため南極にたどり着いたときには天候が悪く、昭和基地に近寄れませんでした。そこで第一次隊は小型雪上船にのりなんとか第二次隊が乗る南極観測船「宗谷」に向かったのです。
しかしこのときにタロとジロを含んだイヌ15頭が小型雪上船にのることができず昭和基地に残されてしまいました。その際タケシは小さかったため小型雪上船に乗ることができたそうです。天候回復を待ち第二次隊がイヌ達の待つ昭和基地に向かう予定でしたが、なかなか回復せずついに帰国という決断が下されました。
そのタケシの写真がこちら
日本に帰ったタケシは特に可愛がっていた隊員の作間さんとゆっくり暮らす予定でした。しかし日本に到着して一週間程で行方不明になってしまったそうです。タケシがその後どのような余生をおくったのかは誰にもわかりません。
以下作間さんの言葉です
「タケシの魂は、昭和基地にいっているはずですから、
ぼくも命が終えるときにはタケシに会えますよ。
そうしたら、ずっと探して待っていたんだよって言ってやりますよ」
たけしのストーリーは絵本になっています(こねこのタケシ 南極大冒険 銀の鈴社)。作間さんの言葉も巻末からの引用です。
※現在は生態系への影響を避けるため南極に動物を連れて行くことはできません。タロジロが生き残ったのはペンギン等を捕食していたためと言われています。たとえばペンギンが激減してしまうことがあったら南極の生態系が崩れてしまうからです(タロジロ達は全員雄だったので繁殖できないので大きな問題にならなかった)。なので動物だけでなく細菌やウィルスも持ち込まないよう厳重な注意を行って南極に入るそうです。タロジロそしてタケシはこの時代だからこそ生まれたエピードといえるでしょう。