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雄猫の発情サイン

雌猫の発情サインはこちら

雄猫の発情サインは尿スプレーが広く知られており、尿スプレーを防ぐ目的で去勢手術を選択する方も多いでしょう。今回は尿スプレー以外の行動も含めて解説します。

1尿スプレー行動

雄猫は尿の臭いによるマーキングで縄張りを主張するため、通常柱やソファなど目立つところに行います。一方尿スプレーをしない猫もいるので、尿スプレーが見られないから発情していないとは言えません。

また発情期でなくてもトイレにが汚かったり、トレイや砂が気に入らないとトイレ外で用を足すこともあります。これを「不適切な場所での排泄」と呼びます。スプレー行動と不適切な場所での排泄は一見似ていますが、猫の意図は全く異なるので注意が必要です。

尿スプレーと不適切な場所で排泄の区別の仕方

尿スプレー:猫の鼻の高さぐらいの対象物に向かって地面と水平に発射します、そのときしっぽがぴくぴく動くことも。

不適切な場所での排尿:砂箱でするように座ったまま下方向に排尿しますので、排尿時の姿勢と尿がついてる高さで区別できます。

街中でマーキング中の猫。よくみると水平に発射してる尿スプレーがみえます

2尿臭が強くなる

より強くマーキングするため去勢してい雄猫の尿はより臭いが強くなります。尿臭の成分の1つフェニリンは食事の中のたんぱく質の量により変化するため、尿臭の強さは猫の狩りの上手さに直結し、強さの証になります。詳しくはこちら

3 放浪、性格の変化

繁殖季節中、雄猫は雌猫を求めて放浪します。それに伴い雄猫同士の遭遇率が高まり、喧嘩が増えます。猫の繁殖季節である春から夏にかけては夜中に外から猫の喧嘩の叫び声を聞いたことがある方も多いでしょう。室内飼いの猫は雌を探して外に出たがろうとすることや、外猫の脅威から不安を感じ臆病になったり攻撃的に性格が変わることもあります。

4 陰茎の棘

これは行動ではありませんが性成熟しているのか見分けることができます。猫は精巣からの男性ホルモンによって猫の陰茎に棘がはえます。未去勢と去勢済みの雄猫の陰茎を見比べると一目瞭然です。陰茎の棘がはえ始めるのは約6〜7ヶ月齢、棘がはえていれば性成熟していると言えます。

去勢済みの雄猫の陰茎。とげがない!つるつる
去勢していない雄猫の陰茎。とげがある!ギザギザ

何故棘が生えるのか?

犬や人間は周期的に排卵する一方、猫は交尾による刺激が引き金になり排卵します(交尾排卵動物)。そのため棘により強く刺激し、確実に排卵させ受精率を高めるために棘が生えると考えられています。またこの棘は去勢手術をすることで男性ホルモンがなくなり消失します。(男性ホルモンが消失し数ヶ月すると消えるため、去勢手術後すぐに消えるというわけではありません)

まとめ

スプレー以外にも行動の変化により発情がきているか見極めることができます。去勢手術をした雄猫の90%は術後これらのスプレー行動、放浪、攻撃性などみられなくなりますが、10%は変わりません。特にスプレー行動は室内で一緒に暮らすのが大変になるのでこれらの行動が現れる前(生後6ヶ月前後)に去勢手術をすることをおすすめします。

おまけ 雄に対して「発情」という言葉について

発情とは「広義には動物が交尾可能な生理状態にあること。狭義には成熟した哺乳類の雌が、雄の接近を許し、交尾に応じることのできる生理状態にあること。」とあります

狭義、つまり専門的な意味で使われる場合は雌に限定的な言葉になります。そのため獣医師がブログのタイトルに「雄猫の発情サイン」とつけるのは不適切です。しかし今回は多くの方がこのページに辿り着けるためタイトルをそのままにしました。雄猫の場合発情でなく「性成熟」や「繁殖シーズンの行動」と表現した方が良いでしょう。