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猫に療法食を食べてもらう9つのヒント

腎臓病や、尿石症などの病気は治療のメインが食事管理になります。

最近はペットフードメーカーさんも頑張って猫の好みをリサーチし美味しい療法食を作ってくれます。

が、それでも療法食を食べてくれない猫がいることも事実。

適切な対応をすれば慢性腎不全の猫の90%は療法食を受け入れてくれるといわれています。

いますぐできる9つのヒントを順を追って解説していきましょう

 

1 早期に食事を導入する

主に慢性腎臓病の猫に関して。いよいよ腎臓が悪くなって尿毒症になってしまうとただでさえ食欲が下がっている上に、慣れてない腎臓病用のごはんを出されてもますます食べる気になりません。できることなら、おしっこが薄くなり始めた頃まだ食欲が下がってない段階で早めに腎臓病用のご飯に慣れておくことで食事の変更がスムーズになります。

 

2 徐々に移行させる

最も重要なポイントの1つです。最低でも7日、多くの猫は移行に3〜4週間かかります。最初の数日で諦めてしまう前にこのぐらいかかるということを知っておくことが大事です。食べられなかったからと毎日フードの種類をかえると全てのフードを嫌いになってしまうことあります。

 

3 いつもの食事と混ぜる

3〜4週間の間に食べる量が減ってしまうと痩せてしまいます。いつもの食事と混ぜる、もしくは同じお皿にいれて、好きな方を食べられるようにします。徐々に療法食の割合を増やして最終的に全部療法食にすることもできます。

 

4 適切な食器、場所

ドライフードからウェットフードに移行するときはお椀型でなく平らな食器を使うといいです。猫はヒゲが食器に触れるのを嫌うからです。

また場所に関しては静かな所で。フードとお水を並べて置くお皿がありますが、猫本来の行動としては水とフードは別々の場所に設置したほうが自然に近い環境になります。

 

5 ストレスのかかっている時期を避ける

入院中や退院直後などに療法食を与えると味と環境を結びつけて覚えてしまいます。入院中に食べたフードと違う種類のもの、また退院したその日は家でいつものフードを食べて安心してもらってから療法食に切り替え始めるといいこともあります。

 

6 温度 湿度を整える

ドライフードの場合少しお湯を足し、ウェットの場合はそのままレンジで温めると食べてくれることがあります。猫舌といわれているくらいなので温めすぎは注意、人肌ぐらいで大丈夫です。

 

7 質感や形の好みが変わる

慢性腎不全になることで好みが変わる猫もいます。ドライ派からウェット派へ、またその逆もあるのでいままでとは違った質感のフードを試してみましょう。

 

8 調味料を加える

猫は嗅覚が食欲に一番刺激するので臭い付けをして食べてもらう方法です。味付けしてないチキンスープ、マグロの汁またはビール酵母、オレガノなどが好きな猫もいます。かつお節は塩分やリンが多いため慢性腎不全や尿石症の猫にあげすぎは注意です。

 

9 別のブランドのフードを探す

有名なところでロイヤルカナン、ヒルズの他ドクターズケア、スペシフィックなどのブランドがあります。また腎不全用フードをどうしても食べないのであれば同じようなコンセプト(リン、タンパク質抑えめ)の老猫用フードなど、療法食にこだわるのではなく食べられる中で最適なフードを探すことも大事だと思います。

 

 

以上9つのヒントでした。それでも「鮪系しか食べない!」「モンプチの七面鳥のテリーヌ仕立てしか15年間食べてこなかった!」とこだわりあるグルメ猫もいます。人間でも肝臓が悪くてもお酒をやめれないひと、それもまたその人の人生かなと。特に猫は自分の腎臓が悪いとは知らないのでまずいご飯をだされて不服かもしれません。その猫にとって療法食を食べることが幸せなのか、常に考えながら診療にあたっています。

ただ慢性腎臓病に関しては療法食を食べることで寿命が伸びることは論文で証明されている事実です、諦めるまえに上の9つを試してみて少しでも猫ちゃんに無理なくフードを食べてもらえるようになれば幸いです。