ちょっと昔までは家ネコ10年、外ネコ5年と言われていた猫の寿命、実際のところどれほど伸びているのしょうか。
日本ペットフード協会が2016に発表した日本の猫の平均寿命は15.04歳でした(※過去10年に飼育された猫。野良、ブリーダーやショップで亡くなった猫は含まれず)。もはや猫又(化け猫:猫は20歳を超えると尻尾が2本に分かれ人語を理解するようになる)も珍しくない状況です。
また「家の外にでる猫」は13.26歳 「家の外に出ない猫」は15.81歳と差があります。2010年の平均寿命が14.4歳なので、この6年だけでで0.6年寿命が伸びてます。
ここ5年の猫の平均寿命の推移です。2016年に落ちてしまっていますが、2015年が突出して高く、浮き沈みはあるものの全体の傾向としては伸びていることがわかります。
雌雄差
ペット保険アニコムの2013年のデータではオス猫の平均寿命が14.3歳に対してメス猫は15.2歳でした。人以外でも哺乳類は
その他に長毛より短毛、純血より雑種の方が長生きすという結果がしばしば報告されています。
猫の年齢を人間換算すると?
もっとも簡単な年齢換算の方法は1歳で18歳、それ以降は1年を4歳として換算する方法。
18+(年齢ー1)×4=人間換算年齢
10歳だと 18+(10−1)×4=54歳
海外獣医学会の見解は?
国際猫医学会ISFM&アメリカ猫医学会AAFPで2010年に発表されたライフステージでは以下の表のようになっています。人間と猫は年をとる早さが違うのであくま目安としてして考えています。
Life stage | 猫の年齢 | 人間換算 |
Kitten 仔猫 | 0〜6ヶ月 | 0〜10歳 |
Junior 青年期 | 7〜24ヶ月 | 12〜24歳 |
Prime 成猫 | 3〜6歳 | 28〜40歳 |
Mature 壮年期 | 7〜10歳 | 44〜56歳 |
Senior 中年期 | 11〜14歳 | 60〜72歳 |
Geriatric 老年期 | 15歳以上 | 76歳以上 |
猫と人の成長段階の比較
離乳
猫:平均生後2ヶ月で離乳します。生後1ヶ月ぐらいから母乳以外の固形物を食べ始めます。生まれた猫の数が少なければ少ない程離乳までの時間が長くなります。
人:卒乳平均年齢:4.2歳
歯の生え替わり
猫:3ヶ月から生え始め6ヶ月で完成します。
人:一番早い永久歯は6〜7歳ぐらいから生え始め12歳で殆どの永久歯が揃います。
性成熟
猫:猫は人間のように生理出血や周期的な排卵がなく性成熟時期を測るのが難しいですが、雌猫は6〜12ヶ月で妊娠可能になります、この時期は猫種によって異なりバーミーズは早め、ペルシャは遅めだったりします。
人:人間の性成熟は14〜16歳で迎えます。
骨格の成長の終わり
猫:猫は1歳を超えると骨格は殆ど大きくなりません、3歳だけどまだ大きくなってる!っという猫は太って横に大きくなっている(肥満)可能性が高いです。しかしメインクーンやノルウェージャンフォレスキャットなどの大柄な猫は3〜5歳まで成長を続けます。
医学では骨のレントゲンで骨端線が見えなくなったときを成長期の終わりと評価することが多いです。猫の脛骨の骨端線が消えるのは結構幅があり14〜24ヶ月齢です。
人:一般的に身長が完全に止まるのは男性25歳女性22歳ぐらいと言われています。人の脛骨の骨端線が消えるのは男性で17〜18歳です。
シニア(病気が増え始める時期)
ここでのシニアとは人間でいう高齢者であり、WHOでは65歳以上と定めています。明確な基準はありませんが退職あるいは老齢年金受給開始時期の人を指すことが多いです。
また高齢になると人間ネコで共通して増える病気の代表として「がん」についても少し比較しました(人間の死因の上位にくる脳梗塞や心疾患はネコではそんなには多くない)。
猫:腎不全や甲状腺機能亢進症など加齢とともにみられる病気が増える時期が12歳です。上の海外猫学会での表でも12歳から高年期として扱い、より細かい健康診断を推奨しています。
雌猫に多いがんに乳がんがあります。乳がんの発症平均年齢は10〜12歳です。またネコ全体でもっとも多いがんであるリンパ腫は、発生部位やウィルスの影響によって異なりますが発症平均年齢は9〜13歳にまとまっています。
人:高齢者としては65歳以上。また日本で一番多いがん、胃がんの手術時の平均年齢はだいたい60歳前後です。ちなみに女性で一番多いがん、乳がんは50歳代がピークで手術時の平均年齢はやはり60歳前後です。
※ 同じがんでも動物によって悪性度や発生率が異なります。(例:日本人男性で一番多いがんである胃がんはネコでは比較的まれ、ネコの乳癌は90%悪性に対してイヌは50%など)また動物医療は病気の発見が遅れがちになることがあるので単純な比較は難しいです。
平均寿命
猫:15.75歳(2015年日本ペットフード業界調べ)
人(日本人):83.1歳。(2012年 世界銀行)
世界記録
猫:2013年のギネスでは38歳と3日生きたCream puffというアメリカの猫が最長記録、猫又もびっくりです。
人:フランス人のジャンヌ=ルイーズ カルマンさんが122歳と164日で長寿記録。(ギネス)
(閉経)
人ではだいたい50歳ぐらいが平均です。猫は、というより猫だけでなく人間以外の哺乳類に閉経はありません。閉経がくる前に寿命が尽きるからです。人間が閉経後数十年生きるようになったのは孫の世話をみるためだとか。それでも戦前までの歴史で平均寿命が50歳を切っていたことを考えるとほんとにそれだけの理由なのかは不明です。
以上の項目をグラフにすると
1歳までは急激に成長し、その後は成長のスピードがなだらかになり、ある程度人間と比例しています。
結局 上に書いた 18+(年齢-1)×4 の式と同じような結果になりましたね。
人間は哺乳類の中でかなり成長が遅い生き物なので、猫と人間の年齢を比べるのは難しいです。だいたいこのぐらいかなという目安だと解釈してください。
今後ネコの寿命はもっと伸びるか??
人間の寿命が格段に伸びたステップとして①栄養状態の改善②乳幼児の死亡減少③感染症の撲滅、が大きな要因なのは間違いないでしょう。そしてネコでもその段階に来ていると思います。今では猫の死因もがん、慢性腎不全、老衰など加齢によるものが増えています。今後医療ががんを克服したとき、猫の寿命もそれに伴って伸びるのではないかと感じます。