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雌猫の発情サイン

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雌猫の発情は判断に迷うことが多々あります。

まず初歩的な勘違いとして「おしりから出血がないのでまだ発情はきてないはず」です。猫は犬のような生理出血が起こらないことが殆どです。

「これがあれば絶対発情がきている!」と確信できる行動は少ないですが、注意深く観察すると発情のサインとなる行動があるので紹介していきます。

 

ロードシス

ロードシスとは雄猫を受け入れるための姿勢です。文章で説明すると「胸部と腹部を床に着け、後肢を体よりも後ろに置き、後肢を垂直に立ておしりを持ち上げる」。よくわかりませんね。

画像でみると一目瞭然です。特におしりをあげる動作が特徴的です。

ノートルダム清心学園のミィちゃんブログより引用

この姿勢は腰や背中をなでることで誘発することができます。

こすりつけ行動

頭や首を執拗になすりつけてくることです。これは発情前期にみられる行動です、飼い主さんは「あれ?このこ人懐っこくなったかな」と感じると思います。

猫の性格によってもともとスリスリしてくる頻度が高い猫もいるので、そういう猫ちゃんは判断が難しいですね。

ローリング行動

文字通り横転を繰り返します。ごねごねと伸びをしながら、ゆっくりまたは激しく横転します。マタタビを与えたときの反応と近いです。

この動画が「ローリング行動」です。

いつもより高い鳴き声

抑揚のない遠吠えです。最長1回に3分間続くこともあるそうで、連続的に鳴くパターンもあります。

全く鳴かない雌猫もいます

この動画が「高い鳴き声」です。このこは連続的に鳴くパターンです。

 

尿スプレー

尿スプレーは雄猫のマーキング行動としても有名ですが、雌猫もします。トイレを覚えたはずなのに変なところでやってしまう。この尿と「こすりつけ行動」でつけた脂肪性の分泌物によって雄猫を引きつけます。

その他

若い雌猫はあまりサインをださないことがあります。最小限のサインとして興奮する、食欲がなくなる、内向的になる等がありますが、それがサインなのか、他の病気なのか見極めることは困難です。

雄猫をうけいれる

通常の雌猫の場合雄のマウンティング(雌猫に後ろからおおいかぶさる)やネックグリップ(雄が雌の首を咬んで動けなくすること)に激しく拒絶しますが、発情期の雌猫は雄猫を受け入れます。

これが見られれば発情していると断言できます。しかし雄猫がいないとわからない、しかもこうなってからじゃもう手遅れ…。

 

さていくつかサインをあげました。特にロードシス、さかりの鳴き声、ローリングは特徴的な行動なのでこれらがみられたら可能性はかなり高いです。

また避妊したはずなのに発情っぽい動きをする、というのは卵巣遺残の可能性があります。卵巣遺残とは避妊手術の際に卵巣の一部が体に残ってしまい、卵巣が再生することです。

目に見えないぐらいの卵巣の細胞が残っているだけでも再生してしまいます。卵巣遺残は避妊手術から数年たった後でも起こることがあります。潜在精巣が疑われたら動物病院で血液中のホルモンを測定をすることをおすすめします。

綿棒で排卵を促す方法について 

湿らせた綿棒で膣を刺激して排卵を促し、黄体期にすることで発情期を終わらせる方法があります。

猫は交尾排卵動物といって、交尾をした刺激で排卵します。綿棒の刺激を交尾と勘違いし、成功すれば理論上40日(黄体が退行するまで)は発情がきません。

しかし慣れない方がやると上手く排卵させられないだけでないく、膣粘膜を傷つける可能性があるためおすすめできません。

 

おまけ 雄猫がいない環境での猫の発情周期

1回の発情の日数(発情前期〜発情後期):10~14日間(初回発情は5~10日)

次の発情がくるまで(非発情期):9日±7.6日(5~22日の範囲)

繁殖周期:春と夏に多い 年2~3回(緯度によって変化、室内環境だと1年を通して性周期があることも)