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喘息猫用スペーサー(吸入器) エアロカットの使い方

今回は猫喘息の治療で使われる猫専用スペーサー エアロカット(AeroKat)の使い方について解説します。猫が咳をしているからといって喘息以外の可能性も十分ありますので、動物病院で診断を受けてから使用してください。Katはオランダ語で猫という意味だそうです。猫の喘息についてはこちら

猫用スペーサーは検索するといくつかありますが、昔から獣医師の間で使用されており、人用のスペーサーも開発している医療メーカーであるTrudel Medicalのエアロカットをお勧めしています。

吸入剤ステロイド、フルタイド。人の喘息で使われるものと同じ。容量が違う物があるので注意

エアロカットは動物病院で購入することができます。かかりつけの動物病院で吸入剤と一緒に処方してもらってください。エアロカットの使い方は、公式の動画がありますのでまずはこちらをご覧ください。

動画の日本語訳

0:03:1.キャップをとり、吸入剤を振って混和します

0:05:2.吸入剤をエアロカットの後ろ側に差し込み、マスクを猫の顔に優しくかけます

0:11:3.吸入剤をプッシュし、薬剤を噴霧します。その時に猫が呼吸するとFlow-Vu(緑色のバルブ)が前方に動くはずです。5〜6回呼吸するまでマスクをつけたままにします

 

動画を見ると非常に簡単そうですが、実際にはマスクをすると嫌がることもあります。実際の猫をモデルにいくつかコツを紹介します。

1.マスク

マスクは2種類入っており、マズル(口の周り)の大きさにより選択します。マズルの大きさは猫種(アメリカンショートヘア、メインクーンなどは大きい。ロシアンブルー、シンガプーラなどは小さい)、性別(雄の方が大きい)体格によっても違います。4〜5kg以上の猫は大きい方のマスクで良いことが多いです。

赤丸:マズル Muzzle

 

2.猫の抑え方

マスクを当てる時の姿勢は膝や腕に抱っこする姿勢が良いと思います。猫からすると顔の半分ぐらいの大きさの物が近づいてくるので、最初は怖がります。猫は後ろに逃げたがるので、自分の腕やお腹を猫の後ろに当てておくと良いでしょう。そのため抱っこが嫌いな猫はエアロカットを使うのは難しいかもしれません。

ちょっと怖いのかイカ耳になってしまっている

伏せの姿勢でもできますが、やはり自分が猫の後ろに入って、バックしないようにしましょう。

 

3.当てる強さ

赤丸:Flow-Vu。ここの動きに注目

それほど強く当てる必要はありませんが、ある程度接着していないと薬剤が吸引されません。その指標になるのが動画で出てきた「Flow-Vu」(緑のバルブ)です。このバルブが動いていれば、吸い込む力がかかっているので大丈夫です。それほど強く押し当てなくてもバルブが動くことがわかります。常にバルブをチェックしながら当てる角度や強さを調整しましょう。

 

4.その他の注意点

・動画ではバルブが5〜6回動くまでホールドすると紹介していますが、獣医学書では7〜10回動くまで固定することを推奨されています。

・吸入剤の頻度は基本的に1日1~2回ですが、回数は症状に合わせて調整します。かかりつけの獣医師の指示を守り使用してください。

・吸入ステロイドの効果が安定するまで2〜3週間かかるので、すぐには効果は出ません。

・ストレスが咳のきっかけになることもあります。嫌がる場合は他の方法に変更しましょう。

 

最後に

今回もモデルはカツオくんでした、撮影後にカリカリをもらい満足げなカツオ

スペーサーはうまく使えば全身性の副作用はほとんど出さずに、猫喘息を治療することができます。一方でスペーサーを嫌がる猫も結構多いのも事実です。その場合は他の治療方法を検討しなくていけません。猫喘息については、こちらでまとめましたのでご覧ください。

 

参考資料:J-vet 2018 Aug No.377