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よく相談を頂く猫の病気のアウトライン「どんな病気なのか」「どういう治療があるのか」を解説します。今回は腎臓病です。先に書いておきますが、このページには最先端の情報や画期的な治療方法はありません。誤解されやすいところ、わかり辛いところに文字数を割き、愛猫が腎臓病と初めて診断されたオーナーさんの情報整理のために使って頂けると幸いです。以下4つのカテゴリーに分けて説明していきます。

1.概要 2.検査 3.治療 4.予後

1.概要

腎臓病は老化に伴う腎機能の低下を示す慢性腎臓病、急激な腎機能の低下を起こす急性腎障害の2つに分けられます。猫では慢性腎臓病が圧倒的に多く、このページではことわりがない限り「腎臓病」は「慢性腎臓病」を示します。

具体的に慢性腎臓病の定義は簡単にいうと「腎臓の機能が50%以上低下し、それが3ヶ月以上持続する状態」となります。高齢の猫に多く、15歳以上の猫は81%が慢性腎臓病であるという報告もあります。

腎臓という臓器は一度機能を失うと回復することがありません。そのため、治療目標は進行を遅らせることと猫の気分を楽にしてあげることがメインになります。

慢性腎臓病の定義:50%以上の濾過量(GFR)の低下、もしくは尿検査、画像検査、血液検査、病理検査で診断された腎臓の障害が慢性的に3ヶ月以上持続する、進行性かつ非可逆的な廟を形成する疾患

1.0 なぜ猫は腎臓病になりやすいのか

よく聞かれる質問ですが、はっきりした理由は分かっていません。猫の祖先は砂漠で生きていたため、水分を温存するために少量の濃縮した尿を作れるように進化しました。濃縮された尿を作る過程で腎臓のネフロン(腎臓はネフロンと呼ばれる構造が沢山集まってできている)が摩耗していくのではないかと考えられています。

またネフロンの数自体も人間が左右の腎臓で200万個、犬が80万個に対して猫は20万個と少なめです。ただ、人間は猫より10倍体重が重いのでこれはある意味当然のことでしょう。腎臓の密度あたりのネフロンの数は10000/gとなり、これは人、犬、猫で一致します。

猫は完全肉食動物で他の動物よりもたんぱく質を多く摂取します。そのため尿素が多く産生され腎臓が多く働かされるという説もあります(尿素と腎臓の関係は後述)。

また感染症の関与も考えられ、最近の研究ではモリビリウィルスが猫の腎臓病と関係しているかもしれないと香港の研究チームに2012年に報告されました。それ以外にもワクチン(リンク先 2.3.1 ワクチンを減らすメリット)の話、東大の研究チームが指摘したAIMという蛋白の話、歯肉炎との関連性などいろいろな仮説があります。

1.1腎臓の機能

腎臓病の話をする前に腎臓の機能に触れないといけません。腎臓の主な機能は以下の3つです。これは人間も猫も殆ど同じです。腎臓病になるということはこれらの機能が低下するということです。

1. 体内の老廃物の排泄:たんぱく質をエネルギーに変換したときにできた窒素化合物、老廃物、毒物、薬物などを尿として排泄しています。この機能が低下すると尿毒症と言って毒素が体に溜まり気持ちが悪くなり、食欲がなくなる、嘔吐などの症状がでます。

2.体液(血液など)のバランス調整:水分、ナトリウム、カルシウム、リン、カリウム、体のpHなどを一定のバランスで保つように調整しています。しょっぱいものを沢山食べた翌日むくんでも、夕方には元に戻るのは腎臓のおかげです。同様にビールを沢山飲んだ時のように過剰な水分はすぐに尿として排泄されます。

3.ホルモン等の産生:腎臓は尿を作るだけでなくホルモンも産生しています。血圧の調整するホルモン(レニン)、カルシウムを吸収するためのビタミンDの調整(活性型ビタミンD)、赤血球の産生を促す造血ホルモン(エリスロポイエチン)を産生しています。

1.2症状

食欲不振、体重減少、元気消失、毛づやが悪い、嘔吐、便秘、口臭、尿量の増加(=飲水量の増加)などがあげられます。

腎臓から排出されるべき廃棄物が体に溜まり気持ち悪くなりこれらの症状が現れます。進行すると造血ホルモンが低下し貧血にもなります。また猫の毛づやは健康のバロメーターなので、他の病気でも体調が悪くなると毛がパサパサしてきます。

実際には猫は症状を隠す動物であること、緩やかに進行する病気のため飼い主さんが初期に気づくことが難しいです。最も気をつける症状は「尿量の増加(飲水量の増加)」です。これは自宅で確認でき、(→飲水量の測り方)嘔吐などの症状が出る前に愛猫の異変に気がつくことができます。

1.3腎臓病の種類

腎機能が低下する原因として、慢性腎臓病と急性腎障害があります。文字通りゆっくり進行するのが慢性腎臓病で、急に腎機能が低下するのが急性腎障害です。

1.3.1慢性腎臓病 (CKD)

猫で多いのはこちらの慢性腎臓病です。15歳以上の猫では81%以上が慢性腎臓病のであるという報告があります。特に原因がなくても老化に伴い腎機能が低下していきます。

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縦軸:腎臓病の進行度 横軸:時間経過

1.3.2 急性腎障害(AKI)

元気な猫や若い猫が急に元気がなくなり、病院で腎臓病であることが判明した場合は急性腎障害の可能性が高いです。急性腎障害はなんらかの原因で腎臓への血流が不足した時(虚血)、腎臓への感染、薬物などが原因で起こります。猫で多いのは尿路結石、毒性(ユリ科植物、エチレングリコール中毒)などです。

急性腎障害の予後は原因やケースによってことなり、腎臓の機能が戻らずそのまま亡くなってしまう(赤線)、元の機能まで戻る(青線)、完全には機能は戻らないが生存できる(緑線)の3パターンがあります。

1.3.3 慢性腎臓病と急性腎障害の区別

実際の獣医療では腎臓病の診断時に厳密に急性腎障害と慢性腎臓病を区別することは難しいです。それは猫は体調が悪くなってきてから来院することがほとんどで、急激に腎臓が悪くなったのか、ゆっくり腎臓が悪くなったのか判断できないからです。

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上のグラフは過去のデータがない猫で腎臓病のイメージ図です。腎臓病が悪いことはわかりますが、これでは慢性腎臓病が進行した状態なのか、もしくは急性に腎臓が障害されたのかは判断できません。

しかし実際に獣医師はこれまでの経過、身体検査、猫の年齢、腎臓の形やサイズからおおよそ当たりをつけて判断しなければいけません。慢性か急性かの区別は予後(病気が治る見込みがあるのか、どのくらい生きられるか)に関係する大事なことだからです。

1.4慢性腎不全と慢性腎臓病の違い

慢性腎臓病と慢性腎不全という言葉が混同されていることがしばしばあります。「不全」という言葉はその機能が失われ、生存が困難になった状態を示します。そのため腎機能が下がっていても食欲があり無症状な猫を慢性腎不全とは呼びません。より広い用語である慢性腎臓病という言葉が正しいです。そして慢性腎臓病の中でも進行した状態を慢性腎不全、最終的に腎機能がなくなった状態を末期腎不全と呼びます。

2 検査

腎臓病の検査は腎機能検査と画像検査にわけられます。最終的な診断は身体検査を含んだ各検査結果と猫のプロフィール、症状から総合的に獣医師が判断します。

2.1腎機能検査

文字通り腎臓の機能を検査します、動物病院で一般的に行われるのは血液検査ではCre(クレアチニン)、BUN(Blood urea nitrogen:血液尿素窒素)、SDMA(対称性ジメチルアルギニン)、尿検査では尿比重(尿の濃さ)と尿たんぱくクレアチニン比(UP/C)です。

2.1.1Cre(クレアチニン)

Creは筋肉運動のエネルギー源でアミノ酸の1種であるクレアチンが代謝されてできた物質です。腎臓から排出されるので、血中のCre濃度が高いと腎機能が低下していることがわかります。

クレアチニンは筋肉の量に比例するので、大きい雄猫の方が数字が高くなりやすいです。血液検査でクレアチニンが上昇してくるのは腎機能の75%以上が失われた状態と考えられています。

腎機能の低下とクレアチニンの数値の変化の大まかなグラフ。腎機能が25%以下になるとクレアチニンの数値が急激に上昇する

クレアチニンは上のグラフのように変化しますので、腎臓病が進行するほど(図だと左に行くほど)上がる幅が激しくなります。そのためクレアチニン濃度が1.5から2.0に上昇するのには長い時間がかかりますが、4.5から5.0は短期間で上がってしまいます。

2.1.2BUN(血液尿素窒素)

「ビーユーエヌ」と発音されることが多いです。と血液中の尿素窒素を測定することで尿素の量がわかります(尿素を直接測るのは大変なので尿素についている窒素を測っています)。尿素とはタンパク質の最終代謝物質(残りカスのようなもの)です。

体のなかでタンパク質を利用するためにアミノ酸に分解します。アミノ酸がさらに分解されるとアンモニアが発生します。アンモニアは体にとって有害な物質なので肝臓で尿素にされ、腎臓から排泄します。そのためBUNは腎機能と関係しています。

BUNは腎臓の機能が下がると上がりますが、タンパク質の摂取量(高たんぱく質のものを食べると上がる)、脱水の程度、肝機能により影響されます。血液検査でBUNが上昇してくるのは腎機能の75%以上が失われた状態です。

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肝臓と尿素のイメージ 引用:http://heart-clinic.jp/index.php?ウイルス性肝炎

2.1.3 SDMA

近年新たに開発された腎機能のマーカーです。腎機能が40%失われた段階で、数値が上がり始めるので、クレアチニンやBUNよりも早い段階で腎機能の低下を検出できる可能性があると期待されています。子猫の6%は上限に近い高値を示すため特に解釈に注意が必要です。2019年からIRIS(後述)の腎臓病ステージング分類に使われるようになりました。

2.1.4 尿比重

尿比重とは簡単にいうと尿の濃さです。尿中には水分のほか上記の尿素窒素、ミネラル(ナトリウムやクロール)などが含まれています。腎臓は必要に応じて濃い尿、薄い尿を作りわけています。尿は腎臓で濃縮(水分の再吸収)されながら作られています。

腎臓が悪くなると薄い尿しかできなくなり、尿比重が低下します。腎臓病の他には沢山水を飲んだ後、またホルモンの病気でも尿比重が下がることがあります。

尿検査で尿比重が低下してくるのは腎機能の66%以上が失われた状態と考えられています。(必ずしも尿比重が下がるわけではなく、BUN,Crの上昇のみが現れることもしばしばある)

2.1.5 UPC (尿中たんぱくクレアチニン比)

尿中のたんぱく質とクレアチニン濃度の比率を測ることで、たんぱく尿の程度が数字で客観的に分かります。猫では軽度のたんぱく尿は正常ですが(詳しくは猫の尿たんぱく)、UPCが高すぎると異常といえます。他の検査が正常でもUPCのみ異常値がでることもあります。

※なぜ複数の項目を測るんですか?

上記のように各検査は腎臓以外の因子にも影響されます。複数項目測ることで弱点を補い合いより確実な診断することができます。例えば痩せている猫ではクレアチニンの数値は低く出てしましい、腎臓病を見落とす可能性があります。

一方でBUNは摂取したタンパク質の量や、消化管内の出血に影響を受けます「BUNとCrどちらが正確ですか?」と聞かれることも多いですが、一概にどちらが正確とはいえません。

2.2画像検査

腎臓病で行われる主な画像検査はレントゲン検査(X線検査)、超音波検査の2つです。腎機能検査は文字通り腎機能はわかりますが、腎機能が下がっている原因はわかりません。画像検査では慢性腎臓病以外の腎機能を低下させる病気がないか(腎臓のがん、尿路結石など)確認します。

2.2.1レントゲン検査

1枚の画像で猫の腹部全体を写すことができます。腎臓のサイズだけでなく他の臓器との位置関係がわかります。尿管に結石がみつかることもあります。

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青丸:腎臓の位置

2.2.2超音波検査

腎臓のより正確なサイズ、そして内部構造を見ることができます。腎臓を検査する場合はレントゲンよりも多くの情報が得られます。

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内部構造が異常な腎臓

2.3 腎臓病のステージ分類

IRIS(International Renal Interest Society)という団体が猫の腎臓病のステージ分類表を提唱しています。最新のIRIS分類ではクレアチニンとSDMAをもとに4つのステージに分けられます。

推定残存腎機能:残っている腎臓の機能、IRIS2015より。

注意点としては猫の状態が安定したときの血液検査の結果を用いなければいけません。一番体調が悪い時の数字(多くの場合初診時)ではありません。IRISのガイドラインでは前日の夕ご飯を抜き(飲水は可)、当日午前中に検査することを推奨しています。また1回の検査結果で判断せず、2週間あけ2回測定すべきと提唱しています。

※クレアチニンとSDMAでステージが異なる場合は、筋肉量を考慮して判断する、または再検査、としています。特に筋肉量が低下している場合は、クレアチニンが低めに出ます。それでもステージが違う場合は、高いステージの方をステージを採用することとしています。

さらにステージ分類の補助として上記のUPCと血圧を元にサブステージ分類があります。

例えば 検査結果がクレアチニン2.9μg/dL、血圧190mm/Hg、UP/C 0.3だった場合

→IRIS ステージ3、重度高血圧、たんぱく尿 ±というステージ分類になります。

IRISのガイドライン通り検査を行うのが理想的ですが、実際には難しいことが多いです(多頭飼いで絶食が困難、2度の通院ストレス、じっとしていられず血圧が測れない猫、検査費用 等)。愛猫にとって無理のない検査をかかりつけの獣医師と相談して下さい。

ステージ1の診断

ステージ1ではクレアチニン<1.6、SDMA<18と表には書いてありますが、それだと全ての猫が含まれてしまいます。そのためステージ1、または早期のステージ2の診断は以下の1つ以上を満たしている状態とされています。

CKDステージ1およびステージ2前期 上記の結果の一つ以上を満たす

「腎前性要因」というのは脱水などを示し、脱水していると腎機能が正常でもクレアチニンなどが高く出ることがあります。それがない状態で測定しなくてはいけません。

3治療

概要でも書いた通り、腎臓という臓器は一度機能が失われると元に戻りません。これは人医療でも同じで、腎機能が著しく低下してしまった場合は透析を行うか、移植をしなくては生きていけません。そのため早期に発見し進行をゆっくりにさせることが大切です。

治療の目的は「腎臓病の進行を防ぐ」、そして「猫の生活の質を上げる」ことが目的になります。「生活の質を上げる」というのはいかに苦しみ、不快感なく穏やかに暮らせるようにサポートする、ということです。特にステージ3、4で大事になってきます。

IRIS2019 modifiedの「推奨される治療」を基に平易な表現に一部改変しています。※1腎前後:脱水や、尿管結石などの異常がないか ※2血圧は病院で測定すると高めに出るためと考えられます

この表はステージごとの治療について記載しています。ステージが上がるごとに前のステージ+αで推奨される治療が増えていきます。

この表は大まかな指針にはなりますが、実際には症状の出る順番、猫の性格(薬を飲めるか、療法食を食べるかなど)などを考慮して治療内容を調整しなくてはいけません。

※腎臓病は良くならないと言われましたが、血液検査の数字が良くなったのはなぜですか?

各検査は腎機能以外の要因も絡んでいます。BUNであれば低タンパク質の食事、Crであれば筋肉量が低下すれば検査結果が下がります。またその日の飲水量、また検査機械の誤差によっても結果が変わります。これらの要因で、以前に検査した数字より低く出ることがあります。

3.1食事療法

腎臓病の治療の中で最も効果が大きいのが食事療法です。ステージ2,3の猫では通常の食事に比べて2倍以上寿命が伸びるという報告があります。グルメな猫は療法食を嫌うことがありますが、食事の変更を慎重に行えば90%の猫は療法食を食べるという報告もあります。(食事の変更のコツ)(猫の療法食まとめ

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慢性腎臓病の猫の中央生存日数、ノーマルフードと腎臓療法食の比較

腎臓病療法食の特徴

・タンパク質の制限

検査のBUNの項で述べたように、タンパク質は分解されると尿素を作られます。高タンパク質の食事は体内の尿素が増え、腎臓病の症状を悪化させるためタンパク質が抑えられています。またタンパク尿を軽減させる狙いもあります。

・リンの制限

高リン血症は腎臓病の進行を早めることがわかっています。リンも腎臓から排出されるミネラルで、腎臓病が進行すると高リン血症になっていきます。

・代謝性アシドーシスの予防

腎臓が悪くなると、酸を排泄する量が低下して体が酸性に傾きます(アシドーシス)。アシドーシスは骨吸収や筋肉量の低下、また腎機能低下のスピードに悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。クエン酸カリウムなどを添加することによってアシドーシスを予防しています。

そのほかにもナトリウムの制限、カリウム/オメガ3脂肪酸/ビタミンB/の添加などの工夫が加えられており、嗜好性(味)も日々改良されています。各メーカーから発売されています。

IRISの表ではステージ2から療法食を推奨していますが、ステージ1を対象にした療法食なども出ています(k/d早期アシストなど)。SDMAの登場によりステージ1での食事療法の効果が明らかになるかもしれません。

3.2 血圧コントロール

慢性腎臓病の猫の20%は高血圧症になっているという報告があります。高血圧症はたんぱく尿を引き起こし、たんぱく尿は腎臓病の悪化につながります。また腎臓病を悪化させるだけでなく、心臓負荷、視力低下、頭痛などの症状を示し生活の質を低下させます。

しかし猫は正確な血圧を測定するのが難しいです。その理由として猫は病院に来ると緊張してしまうので血圧が一時的に上がってしまうからです。(詳しくはこちら→ホワイトコートエフェクト

血圧コントロールの薬としてはアムロジピン、ベナゼプリル、エナラプリル、テルミサルタン(セミントラ)などがあげられます。これらの薬の一部はたんぱく尿の治療として処方されることもあります。

3.3 血中リン濃度のコントロール

食事の項でも触れたように、高リン血症は腎臓病の進行を早めます。ネコの腎臓病の約60%は高リン血症になっているという報告があります。 IRISではステージごとに目標の血中リン濃度が定められています。

既に療法食に切り替えられていても、血中リン濃度が高い場合は血中リン濃度を下げるため、リンを吸着し便と一緒に排泄する「リン吸着剤」を使うことがあります。具体的にはレンジアレン、カリナール1などがあげられます。

3.4 嘔吐・悪心の治療

腎臓病になると胃炎や腸炎が現れやすくなり気持ち悪く、猫の生活の質を低下させます。マロピタント、ファモチジン、スクラルファート、オメプラゾールなどが挙げられます。

3.5 脱水の治療

腎臓病の猫は尿量が増えるだけでなく、飲水欲の低下から脱水に陥りやすいです。脱水は腎臓病の進行を早めるだけでなく、猫の体調に大きく影響するため脱水を補正してあげる必要があります。

皮膚をつまんで皮膚の形が戻る時間で脱水を評価する試験(ツルゴール試験:皮膚が戻るのに2秒以上かかる時は脱水を示唆)が有名ですが、実際にはかなり重度にならないとわかりません。かかりつけの獣医師に確認してもらいましょう。

新鮮な水を用意するなど基本的な対策をしても脱水してしまう場合は点滴をすることもあります。自宅で皮下点滴を行う場合は、必ず獣医師の指示に従って点滴量と頻度を調整してください。点滴量が多すぎると心臓に負荷がかかり危険な状態になることがあります。

3.6 カリウムのコントロール

低カリウム血症は20〜30%の猫でみられるという報告があります。低カリウム血症もやはり腎臓病の進行と、筋炎を起こし痛みがあります。典型的な低カリウム血症の猫の姿勢は「首が上がらず下を向く」です。具体的にはフィトケア(カリウ補助剤)、点滴へのカリウム添加などでカリウムを補正します。

3.7 貧血の治療

腎臓から分泌される赤血球産生を促すホルモン(エリスロポイエチン)の低下、栄養状態の悪化、消化管からの出血、尿毒症による赤血球の寿命低下などの理由により腎不全の猫では貧血になりやすくなります。貧血の治療としてはエリスロポイエチン製剤、鉄分や葉酸などの補給サプリメント(ヘモテクトなど)があげられます。

3.8活性炭製剤

活性炭を食事と一緒に摂取することで、活性炭が窒素を吸着しそのまま便と一緒に排出されます。尿毒症症状を抑制する効果があります。具体的にコバルジン、ネフガードなどです。活性炭製剤は日本で開発された薬で、海外の獣医学書やガイドラインでは触れられていません。

3.9腎臓を保護する薬

2017年に認可を取ったベラプロストナトリム(ラプロス)という薬は単独で腎機能の悪化を抑える効果があることが示されました。腎臓の血流量を増やす、慢性的な炎症を抑える働きがあります。詳しくはこちら

3.10 タンパク尿の治療

タンパク尿は腎臓病の悪化要因であるため、食事と薬によってタンパク尿を抑えることは腎機能保護になります。薬としてはフォルテコールやセミントラ がこれに当たります。

3.11 栄養チューブの検討

自分で栄養を取らない場合は、胃カテーテルや鼻カテーテルなどを設置し、そこから栄養や水分を摂取させる方法です。設置には手術が必要なこともあり、また猫が自分で引き抜いてしまうこともあるので、かかりつけの獣医師からよく説明を受けて判断してください。

4 予後

予後とは今後の病状についての見通しで、進行具合や生存率を示します。患猫を腎臓病と診断した時、あとどれくらい生きられるのか、どう進行していくのかを話すことは獣医師側も辛いです。3つの報告があります。

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CKDのステージごとの中央生存日数

ステージ2bというのはCre濃度 2.3〜2.8mg/dL を意味しています。

個人的には腎臓病の予後はあまり当たらない、という印象を持っています。この3つの論文でも結構差がありますね。実際にはステージ4でも数ヶ月元気な猫もいますし、ステージ2でも急激に進行してしまう猫もいます。これはおそらく血中クレアチニン濃度による分類だけでは予後を正確に予想できないからでしょう。比較的若い猫は進行が遅い印象を持っています。

まとめ

インターネット上で猫の腎臓病の情報が氾濫し混乱される飼い主さんが多いと感じます。今回は問診でよく質問されること中心に書きました。猫の腎臓病は老化の一部であるという意見もあります。もちろん腎臓病で愛猫が弱っていく姿をみるのは凄く辛いことですが、腎臓病で亡くなるというのはある意味寿命を全うしたと考えることもできます。他の病気と比べると、病気が発覚してから亡くなるまでの期間が長いこともあり、今までの思い出を振り返り、感謝の気持ちを伝える時間があります。このページが腎臓病の猫の飼い主さんの助けになれば幸いです。

参考文献

The Cat: Clinical Medicine and Management

Feline CKD Current therapies – what is achievable? JFMS (2013)

ISFM Consensus Guidelines on the Diagnosis and Management of Feline Chronic Kidney Disease (2016)

IRIS staging of CKD (modified 2015)

IRIS staging of CKD (modified 2019)

“猫の慢性腎臓病(慢性腎不全)のアウトライン” への48件のコメント

  1. はじめまして。1歳2ヶ月の腎嚢胞の猫を飼っています。
    生後6ヶ月の初めてのワクチンで病院に行った際に、超音波で腎嚢胞が見つかりました。それから腎臓食に切り替えて、普通食は与えていません。
    現在は、BUN23、クレアチン1.0、無機リン5.7、UPC0.13と数字の上では落ち着いているようです。発症前から腎臓食で栄養は取れているのか、この先いつ頃発症するのか…心配はつきません。その上、肥満気味なので、なるべく腎臓に優しいダイエット食も混ぜ始めました。
    慢性腎臓病と同じやり方でいいのか、まだ神経質になる必要はないのか、日々頭を悩ませています。
    美味しそうなおやつもたまにはあげたいと思うのですが、やはり負担になるのでしょうね。

    縁があってうちの子になってくれた猫、最後まで出来るだけの事はやろうと思っています。天命という考え方は心に刻もうと思います。

  2. 初めまして。推定5歳の雌猫を3年飼っています。2週間前1年ぶりに検診に行き腎不全ステージ2
    その日からセミントラを1本使い切って再検査に。
    当初Cre2.0が1.7 BUN34.7が36.7に。
    お会いした事無いのですが沢山の猫の保護活動してる代表に質問したら「Cre2.0じゃ腎不全では無い、私が通ってる病院はもっと高い数値で腎不全でない。セカンドオピニオンに行った方が良い」とアドバイスされました。
    ネットを見るとCreの正常値がある病院では上限2.4などありました。
    今の動物病院ではIRISの数値を信じてステージを決めてる所が多いのでしょうか?

    1. よしあさん こんにちは。おっしゃる通り、血液検査の参考基準値は検査機器によって異なります。IRISのステージ分類では1.6~2.8がステージ2ですが、参考基準値と一部重複しています。腎臓病は腎機能が50%以下の状態を示しますが、クレアチニンが上昇するのは腎機能が33〜25%以下になった時です。そのため初期の慢性腎臓病は血液検査では検出できないので、このような矛盾が生じています。この場合は、クレアチニンがIRIS分類のどこだけでなく、BUNに加え尿比重、尿タンパク、最近ではSDMAの数値に症状(水を飲む、体型の変化)の有無を考慮し、総合的に判断しています。

      1. 回答ありがとうございます。機器によって基準値が違うのは最近知りました。
        判定はSDMAが有効らしいですね。当初担当医が判定に外部機関に出す方法を提案されたんですが多分SDMAだったのかなと。結局院長先生の判断でセミントラ1本使い切って
        それで判断するのを提案され良く判らず了承しました。

  3. 初めまして。8歳の男の子猫、自宅測定でタンパク尿が続き受診した所、低比重尿と尿たんぱくクレアチニン比より、慢性腎臓病のまだまだ初期と診断されました。いずれはステージ1、そして2.3.4へと考えると不安でたまりません。腎臓疾患とケアについてネット情報で勉強するも頭に残らず、毎回調べ直す状態でした。この度、ネコペディア様の記事に出会い、とてもよく理解出来た上、頭に残りました。最後の【まとめ】の文章は心に響くものがあり、やがてくるいつかについて、心強くなれました。深く感謝致します。※飲み水量のwetフードの計算も有り難いです。

  4. はじめまして。 我が家の1歳の猫なのですが(メス)、ここ数日のところ多飲多尿になり食欲なくなってました。病院で診てもらったら腎機能障がいがあり、3日ほど入院して治療しています。
    今月の上旬にワクチンを接種したのですが、当時はとても元気にしていました。
    脱走したり変なものを食べてしまったり、そういうことはないので
    理由が医師の方も分からないと言ってました。

    1歳の猫でも障がいになることがあるのでしょうか。
    これから前のように元気でいられるのか心配です。

    ケアできること 注意すべきことなどあったら教えてください。

  5. 19才♂日本の雑種猫です。これまでに甲状腺機能亢進症は疑われたことがありましたが、治療に至らず、それ以外は小さい頃に尿路結石が一度あっただけのコです。
    BUNは3年前から50前後、CREは1.2〜2.2の間、HCTは35前後でした。皮下輸液はすすめられていなかったので行なっていませんでした。先月は肝酵素の数値がいつもの3、4倍ほどに上昇(ALT 615、AST295)したのと、HCTが20.3に下がったこと以外は特に深刻な問題はなく、様子をみましょうということになりました。
    今月行動に変化が見られ、トイレで排尿せずペットシートの上だけでするようになったり、ごはんの場所へ動かずに自分が寝ているソファに運ばれると食べる、という変化が起きていてあれ?と思っていました。猫自身は気分良さそうで気持ちよく過しているようにみえました。

    ところが先週末、急にソファの上で排泄するようになり、食べる量も少し減って体重が減ってきたため、昨日病院へ連れていくとBUNが124、CREが3.9、HCTは19.1に下がっていました。Na 155、 K 3.7、 Cl 102 です。赤血球もこれまで600〜700台だったのが先月から300台、HGBはこれまで10台前半だったのが、先月から7、今月は6.2です。PLTも先月からひと桁です。リンは今月8.7に上がりました。お薬はウルソだけ、毎日1包飲んでいました。一時期吐き気がある様子(舌をぺろぺろだす)や食べたものを吐いたりしていましたが、最近はほとんどそういう様子が見られず、いままであまり食べなかったお肉を真っ先に食べたりして食欲旺盛でした。

    エコーで腎臓を見ると、前回みたときから大きさに変化がなく形に異常もないとのこと、おそらく糸球体に炎症が起きている可能性があるということで、病院で皮下輸液を150ml、プレドニゾロン、アンピシリン、ビタミンBの注射をしていただき、家で飲ませる3日分のお薬(プレドニゾロン、アンピシリン、フォルテコール、コバルジン)を処方していただきました。

    輸液の吸収がわるく、24時間経っても足先に残っています。一晩とてもしんどそうに過していたのですが、今朝になって足腰が立たなくなりました。
    なにが原因でこのような急速な悪化が起きていると考えられますでしょうか?
    尿は今朝病院に届け検査をお願いしました。貧血に関してもお尋ねしましたがそれほどひどくないので、特に治療はしないとのことでした。わたしは貧血や高血圧が心配です。
    こういうケースについて先生ならどのような治療をお考えになりますか?
    お忙しいところ恐縮ですが、アドバイスをいただけましたら大変ありがたいです。よろしくお願いいたします。

  6. 10月3日に、19年5カ月共に生きた愛猫(男の仔)を亡くしました。 眼病で通院中に腎臓病罹患を発見して貰い、以来、六年に渡り闘病していました。 

    腎臓病は、ステージで言えば、末期にまでは悪化していませんでした。 自宅輸液と投薬、各種の療法食と流動食で体重減少にも歯止めがかかっていました。

    でも、夏の終わり頃から食欲が無くなり、体調が悪くなったのか或る日、嘔吐とともに倒れ、その日から日毎に悪化し、四日目には、寝返りも出来なくなり寝たきりになり、六日目の早朝に空に登りました。

    最期まで、生きようとして五日目の夜半にも流動食を嚥下していました。 

    最期の日の早朝には、便も出し、胃の中のものを大きく吐き出し、体を綺麗にした後に、私に抱かれて前を見据えたままでした。

    病とともに老い、最期まで戦い抜いた愛猫は、我が家のボス猫でした。 強くて、他の猫を投げ飛ばしたり、二階の窓から飛び降りて野良猫たちを追い払ったこともある程でした。

    腎臓病は、老衰の結果かも知れませんが、それならば、老衰も治療が出来れば良い、とも思います。 

    人間ならば、19歳は、未だ未成年なのに。 猫なら寿命とは、この世の定めが恨めしく思えます。

    獣医学でも、人間並みに、せめて透析治療が一般的になるようになることを望みます。

  7. はじめまして。慢性腎臓病と言われて1年近く経ちます。今年23歳の女の子です。3か月ほど前に失神したので病院に行くと、輸液量が心臓に負担だったらしく水が溜まってしまいました。それ以来輸液250㏄を3回に分けて一日おきにしました。ネフガード・フェルコール、食事は腎臓サポートにすることで延命出来るとの事でしたので変えました。ここ1か月は歯石が気になるのかカリカリ系を避けるようになったのでソフトタイプ(腎臓サポート以外)がメインになりました。高血圧で降圧剤も飲んでいました。歯石をペンチで取ってもらってから急に弱弱しくなり食欲が無くなり、昨日から全く食べなくなりました。病院に行くとHCT15.5 HGB5.5 LYM9.29 BUN217 CREA8.4 と異常な数値になっていました。腎不全です。先生からは脱水状態を治すのが優先と言うことで輸液量を増やしました。病院嫌いと病院から遠いという理由で主に私の判断で治療をしてきましたが、判断が間違っていたようです。取り返しのつかない事をしてしまいました。今からでも出来ることがありましたら是非教えていただけると嬉しいです。ほとんど寝ていますが、目からは涙が出ていて、目が覚めるとか弱い声で鳴きます。どうしたらこの子の苦しみを無くすことができるでしょうか。嫌がりますが流動食をスポイトみたいな物で流し込むべきですか? 

    1. 伊藤さん こんにちは。23歳の猫ちゃんで腎臓病治療を1年以上続けているということですね。正直に申し上げると、血液検査の結果からすると慢性腎臓病のステージ4で、腎臓の機能はほとんど残っていないと考えざるえません。

      急激に悪化したのであれば輸液量を増やす事で数字が下がるかもしれませんが、末期の慢性腎臓病に現在の医学でできることは限られています。長年一緒に時間を過ごしてきた飼い主さんがそばにいて撫でてあげる事が、一番の苦しみをなくす方法ではないでしょうか。
      体を起こせないほど衰弱しているネコに流動食や薬を飲ませようとすると詰まってしまう危険性があるのでやめた方が良いと思います。

      1. ご多忙にもかかわらずご返信ありがとうございます。先ほど先生のアドバイスから輸液量を250の半分の125にしてみました。2.5か月前の数値から確かに一気に悪くなりましたので少し期待をしています。薬は不安ですがストップしました。流動食はあの嫌がる表情を見なくてすんで正直助かりました。逆に苦痛を与えているのではないか不安でした。 先生、ありがとうございました。痛みのせいか寝床を転々と代えるので床にマットなどを敷いいてみました。 酸素吸入と輸液そして私の手で楽になってもらえるように頑張ります。 先生、ありがとうございました。急に寒くなりましたので風邪などひかれませんように。

  8. じっくりと読ませていただきました。

    90%の猫が療養食に移行できる、一週間くらいで諦めないでの言葉に励まされ、腎臓の病気で命を終わるのは寿命を全うするということ、ゆっくりとお別れができる終わり方いう言葉に救われました。

    残された時間を穏やかに、心地よく過ごせるよう努力します。

  9. 先生の記事を読ませて頂きました。
    うちの子は3日前に、腎臓病の悪化により帰らぬ猫となってしまいました。
    男の子。推定12歳くらい。

    元気な様子でいる以上は、少々の事は大丈夫。
    うんちの形状やキツイ臭いになった時も、人間でも良くあることだと、看過してしまったことを、強く後悔している日々です。

    どうも体重が極端に落ちたな。半分近いな。4キロ以下ではないかな。
    普段お世話になっている動物病院で血液検査の結果、腎臓疾患の疑いと判明。
    進行状況はどうなんでしょうか、と訊くと、先生は専門書を開き、上記の図と同じようなものを示してくださいました。4段階のうちのステージ3。

    きっと既に、手遅れだったのでしょう。
    しかし、お医者さんは、もうすぐ死ぬでしょう、だなんて言いませんよ。
    できる限りの方法を提案して下さったのですから、本当に感謝です。
    普段からしっかり時間をかけて診察してくださる、飼い主の思いも理解してくれるよい獣医師さんにであえた事は、すでに電話で伝えました。

    記事中「症状を隠す動物であること」「ある意味寿命という捉え方もある」という言葉には慰められました。

    どこのどちらの獣医師さんかは存じ上げませんけども
    もの言わぬ猫たちの思いを凄く理解なさっておられることには感動しました。
    今後もどうか猫たちのための、良い獣医師としての活躍を期待しております。

    長文、失礼を致しました。

  10. 膀胱炎のアウトライン欄から、こちらにコメント欄を移動しました。
    10歳雌猫が6月に腎不全と診断され、膀胱内に影があります。
    食事を食べないので、少しでも食べてもらうには、どうしたらいいでしょうか。
    ロイヤルカナンの腎臓サポートや、k/dを試しましたが、匂いを嗅いで、逃げていきます。水は、なるべく飲ませるようにしたり、猫も自分で飲みにきて、おしっこも出ています。
    皮下輸液は、猫が嫌がるのですが、病院や自宅で週に2〜3回やっています。
    ストレスになるので、毎日はかわいそうかなと躊躇しています。
    2日前に喀血があり、吐き気止め注射、皮下輸液、膀胱内の細菌に抗生物質の注射を打ちました。それ以来、ほとんど食べません。
    食欲が出るように、マグロやゆでてほぐした鶏肉を与えましたが、マグロをほんの一口食べただけでした。
    療法食も粉にして、水やお湯で溶いても、マグロを乗せても、食べません。
    ウェットフードも、匂いが嫌みたいです。
    何とか食べてもらえるような方法は、ありませんか。
    そして、水や皮下輸液だけで、何日、生きていられるのでしょうか。
    すみませんが、よろしくお願いします。

    1. 飼い猫が腎不全と診断されて、約3ヶ月経ちました。飼い主としては晴天の霹靂で、どうしていいかわからず、とにかく通院治療と、インターネットで調べて、良いと思うことは、試しました。
      だんだんと冷静になって、改めてこのアウトラインを拝見すると、大変参考になります。
      そこで質問なのですが、『3.2の血圧コントロール』に関して、猫の血圧を測らずに、尿検査で蛋白の測定をすることで高血圧の判断はできないのでしょうか。  
      それから、腎不全になると痩せて、食べても太れません。
      これは、どういう理由なのでしょうか。対症療法は何かありますか?
      どうか、教えて下さい。

  11. はじめまして、皮下点滴による低カリウム症について伺いたくてメールしました。突然の長文失礼します。
    17歳メスの猫が2週間前から失禁と便秘で病院のお世話になり、レントゲンでひどい便秘とのこと、下剤の投与と出なくなる度4回浣腸に行き、便が出ない以外はウェットフードも食べて動けておりましたが、昨日一昨日は食べたものを全部嘔吐してしまったので病院へ連れて行ったところ、便が出てないので浣腸と、脱水症状なので皮下点滴をやって下さり、次改善しなければ別の病気の可能性があるので血液検査とのことになりました。便は2回出たのですが帰宅後から元気がなくなり今朝から何も食べず水も飲まずほとんど動けなくなってしまいました。横たわるか、座っても首が上がらず下を向きがちなので皮下点滴による低カリウム症ではないかと思ったのですが、病院嫌いの猫なのでここまでに相当ストレスがかかっており家族はこれ以上病院へ連れて行きいろいろ負担をかけるより、そっと見守った方がとの意見です。
    もしかしたらまた元気になれる可能性があるのか、それとも無理に延命せず、見守って行ってもいいものなのか、先生のご意見お聞かせ下されば幸いです。
    どうぞよろしくお願いいたします。

    1. 匿名さん こんにちは。17歳と高齢なので、元気が無くなってしまった原因はいろいろと考えられます。その中の1つに低カリウム血症も含まれます。原因によってはまた元気になる可能性もあると思います。例えば一時的な低カリウム血症であればカリウムを補給すれば元気になるでしょう。
      どのくらい病院嫌いかにもよりますが、負担の少ない検査を受けて、むずかしい病気なら積極的な治療はせず見守り、対処可能であれば治療を行い楽にしてあげるのが良いかと思います。

      1. ご多忙の中、返信下さりありがとうございます。
        水食べ物拒絶の状態はなんとか抜け出し、動ける範囲は寝返りとトイレのみですが首も上がってきました。
        突然の衰弱ぶりに動揺して、ぶしつけなメールをしてしましましたが、専門的なご意見とても参考になり感謝です。楽になるのであれば、という方向で検査と治療について向き合っていきたいと思います。

  12. 14歳の雌猫(避妊済)先日血液検査をしたところ、BUN42mg、CREA2.1mgで他には、誉められるくらい異常はありませんでした。かなり高い数値だと思うのですが、療養食を勧められた以外何もありませんでした。投薬などはしなくていいのでしょうか?心配で仕方ないです。食欲も体重もあり元気です。お水はよく飲みますが。療養食の試食もたべてくれました。(ロイヤルカナン腎臓サポート)です。どうしたら治してやれるのか、とても心配です。どういった方法がありますか?よろしくお願いいたします。

    1. ちゃい子さん こんにちは。腎臓病の治療は進行を遅らせるものなので、残念ながら治してあげることは難しいかもしれません。このコラムに書いてあるように、血圧が高かったり、蛋白尿が出ているなどを調べて、それに対応する治療を行うのが良いと思います。そのような検査はされましたか?

      1. 返信ありがとうございます。尿検査はしましたが、全く異常はありませんでした。
        BUNとCREだけです。2年ぐらい前まで肥満で検査結果がわかるまで、ダイエットフードを食べていました。そのせいではないかと悲しくなります。
        現在の体重は5.3キロです。さっそく療養食にかえましたが、毎日出ているものの便の量が少ないです。これ以上ひどくならないように食い止めてあげたいです。生活の中で気をつけることや、やったほうがいいことなどがありましたら、教えてください。

        1. もっとも効果が高いの療法食を続けることです、猫ちゃんが気に入った療法食を探してあげましょう。ダイエットフードのは腎臓病の発症との関係性はないと思いますよ。あと、血圧は計った方が良いと思います。

          1. ありがとうございます。ダイエットフードとの関係がないという言葉に救われました。ダイエットフードは最初は食べてくれましたが、あまり食べてくれなくなりました。でもなんとか頑張ります。血圧を今度はかってもらいます。手探りですが、頑張ります。ありがとうございました。

  13. 15歳の♀猫のことです。
    今年の1月に低カリウム血症から首が下がり、腎臓がんが見つかりました。
    大きな腫瘍でした。肺に転移もありそうでした。
    注射や薬や手術、私が望めば頑張ってくれたでしょうが、頑張らせずに変わらず家で暮らしてほしいと考えて、それら全てを行いませんでした。
    その代わりに、いつくるか分からない急変のとき、その苦しみ全てを受けとめて共に私も苦しむことを覚悟した以上は緊張の毎日です。
    幼少時から生命力の強い気力あふれる子でしたが、最後までそれを貫き、半年生きて見事など根性を見せつけてくれました。
    フィトケアとクロレラを毎日欠かさず飲んでもらうなか、前半3ヶ月は元気だった頃のままで、後半3ヶ月には何度も何度も持ち直してくれて。
    危篤は1週間、その前のギリギリまでご飯を完食しましたので、命の灯を大切に燃やして逝ってくれたと感じています。

    長くなりましたが、今回お伝えしたかったこと。
    「腎臓病で亡くなるというのはある意味寿命を全うしたと考えることもできます。」この一文へのお礼です。
    逡巡する半年間を過ごしながら、ことあるごとに何度も読み返してきました。
    ほんとうにありがとうございます。

    その通りでした。
    最期は激しい苦しみの動きは全く見られず、激しい衰弱も見られず、長い時間もかからず、赤ちゃんのような表情で可愛らしい姿のまま見送れました。
    三毛のキャリコ色のフワフワおばあちゃんでした。

  14. はじめまして、腎臓病について検索をしておりました。
    雄猫高齢が(20歳)なこともあり、無理に何か処置をするよりも今のまま穏やかに過ごさせたいと考えています。BUN50mg/dl CREA3.0mg/dl AMYL2200IUと出ております。動物病院にて血液検査が1回1万円以上かかり、金銭的負担もどこまでやったら良いのか保険も無いしきりが無いといった状態ですが、処置しないにしても血液検査だけでもしておいた方が良いのでしょうか?点滴も毎日でもどうぞと勧められてはいますが現状変わった様子も無く、点滴をする事によって具合が悪くなった話も聞いているので頻繁に行っておりません。痩せていますが甲状腺異常は無く食欲旺盛で普通のウエットフードを食べています。k/d缶の療法食は舌で押し固めてしまって食べ辛いようです。何か良い容器等ご存知でしたらご教示頂けると幸いです。

    1. こんにちは。血液検査をすることで、病気の進行の有無がわかります。それに対して治療内容を変えていくことができますが、治療をご希望でないのであれば、検査をする価値はそれほどないと思います。確かに20歳ととても高齢ですので、穏やかに過ごさせてあげるたいというのも、飼い主さんのお気持ちとしてはよくわかります。k/dは確かに固めですね、手に乗せて食べさせてあげるなどすると猫ちゃんも嬉しいと思います。

      1. 遅くなりましたが有難うございました。
        数値的には腎臓病が出ておりますが当人(?)に自覚がないのか苦しんでいる様子も無く元気ですので食べたい物を食べられるだけで余生を楽しんで頂こうと思いました。現在は投薬中ですので効果が出ているかの血液検査を隔月でしていきたいと思います。ありがとうございました。

  15. こんにちは。17歳と5か月のmixm三毛猫メス、去年の8月下旬から食べなくなり、えさのまえで鳴いているだけで、わからないので、様子を見ていました、カリカリからレトルトにしても、食べないので、医者に診察を受けました。脱水できいろい点滴をして、食欲増進の注射もされました。だるそうにしていました。七日後吐きました。黒いものでした。血を吐きました。もって数日だといわれました。医者に連れていき、点滴をしました。四日後点滴を受けました。血液検査を受けました。最初の診察でもって一年はもたないだろうといわれました。9月24日8時52分に苦しんで亡くなりました。15秒間の間隔で唸り声を5回ぐらいして、息が絶えました。舌をだしたまま亡くなりました。RBC5.03HCT25.4% HGB8.2RETIC54.8%WBC28.62%EOS0.05  PLT132GLU259mg  BUN57mg    GGT4  K3.1

    今日このブログを知って勉強になりました。優しいルナは、あっという間に亡くなりましたが、ありがとうと感謝を言えたので、でももう少しあと2年一緒にいたかたです。癒し系のとても私と相性のいい猫でした。9月1日に医者に連れていきました。もっとはやくつれていけば良かったです。母猫がシャム猫でした。ルナは緑の目をしていました。とても綺麗な目でした。ルナにもブログの先生にもありがとうございました。

  16. ありがとうございます!
    同じ症状でも反対の対応が必要なのですね。
    とりあえず、おしっこを病院にもって行って検査をしてもらうようにお願いしました。
    出来るだけのことをしてやりたいと思います。
    アドバイスありがとうございました。

  17. 補足です。
    他のフードを与えた時の症状は異常に水を飲みたがります。
    歩くことがしんどくなってきた子にとって、常に水が飲みたくおしっこに行きたいとウロウロ歩き回ることは疲れるようです。
    熟睡ができずぐったりとしてはまた歩き回る…を繰り返してしまいます。
    超高齢だとわかっているのですが、それでも少しでも長く元気でいて欲しいのでサプリやフードを選んであげたいと思い悩んでいます。
    よろしくお願いします。

    1. ありがとうございます!
      同じ症状でも反対の対応が必要なのですね。
      とりあえず、おしっこを病院にもって行って検査をしてもらうようにお願いしました。
      出来るだけのことをしてやりたいと思います。
      アドバイスありがとうございました。

      1. そうですね、尿検査だけでもして頂くとかなりアドバイスできることが増えるとおもいます。

  18. 早速のご返答ありがとうございます。

    気持ちを前向きに、大切な彼女と過ごしていくよう努めます。

    彼女の望むように過ごさせてあげようと思っています。
    長く生きてほしいです。

    ありがとうございます。

  19. 先生、今日病院に行って手術をお願いしました。
    決定した理由は、最悪の事態でも尿管が閉塞して苦しいという事はないという事。
    例え助からなくても、少しでも苦しまずに行けるならと思いお願いしました。

  20. こんにちは。返信遅れてしまいました。腎臓数字は高いですね、熱は上限ですが、正常範囲です。食欲があるのはすごく良いことです、お水もたくさん飲んでもらいたいです。

    脱水が重度であれば病院に行った方が良いですが、その判断は簡単ではありません。おそらく主治医の先生はどのような状態か確認をしたくて来院を促していると思うので、まずは電話をして今日の状態を伝えるのが良いかと思います。その際に在宅治療を希望すれば、それに則った方法を教えてくれるでしょう。

  21. お世話になります。18才のmixと暮らしています。
    クレアチニン3.0 BUN41 で腎不全で三年前から腎臓食を食べています。
    数日前に食欲がなく元気がなかったので診察を受けたところかなり便がたまっており、浣腸で2日がかりでやっとすっきりしたのか、食事は取れるようになりました。

    元々食が細く、好き嫌いが多いので腎臓食もありとあらゆるものを試しましたが直ぐに飽きてしまいます。

    食事は少しでも気が向いたら食べれるようにカリカリを置きっ放しにしています。ほとんど食べませんが。。
    お薬を上げるタイミングで缶詰めやパウチを上げるのですが、舐めるように食べるので殆ど食べれないのです。
    ミキサーにかけると嫌がります。

    先生に何か秘策があれば教えて頂きたいです。

    よろしくお願い致します。

  22. 今年の春に4歳になる雌猫の動きが悪く、食欲がなくなり、おしっこの量が増え、3日便が出なかったので、病院で検査を受けました。血液検査の結果BUNが140以上、クレアチニン6.4、超音波診断での血流の悪さで、慢性腎不全と診断されました。それから一週間点滴治療をしましたが、改善が見られないので、点滴を週に二回に減らしました。自宅ではストレスを溜めない、腎臓療法食に替える、体を温めることを続け、一ヶ月後の血液検査では、BUN31.5クレアチニン1.4と全て正常値になりました。先日また血液検査をしましたが、BUN33.4クレアチニン1.5と安定しています。
    結果的に急性腎不全だったと言えるのでしょうか?気に入って食べてくれているので、腎臓療法食も、続けています。こんな状況でタンパク質を制限しても良いのかも気になっています。
    ちなみに、腎不全と診断される前の年に、嘔吐下痢で、診断を受けていますが、その時は特に異常は見られませんでした。

    1. サニーさん
      こんにちは。腎臓の数字下がって本当に良かったですね。急性腎不全と判断して良いと思います。慢性腎不全の定義の1つに、「3ヶ月以上にわたる腎機能の減少」とあります。サニーさんの猫ちゃんはこの項目に当てはまりません。慢性腎不全は不可逆的です。不可逆的というのは機能が元に戻らないという意味です。

      フードについて:
      腎臓療法食はたんぱく質が制限されていますが、もちろん猫に必要な量は確保されていますので健康な成猫が食べても大丈夫です。実際多頭飼育の場合食事を分けるのが難しいので、健康な猫も腎臓療法食を食べていることはよくあります。
      血液検査は正常に戻りましたが、上で書いたようにBUNとクレアチニンは腎機能が25%以下にならないと上昇しません。つまりサニーさんの猫ちゃんがどのくらい腎機能が戻ったのかはわかりません(腎臓病のステージ1かもしれない)。限られた情報からですが年齢の割にまだBUNが少し高めなので腎臓療法食を続けていいと思います。飲水量、尿検査や腎臓の形などの情報も考慮しなくてはいけないので詳しくは主治医と相談してみてください。

      1. 返信ありがとうございます!
        うちの猫は、里親サイトで出会いうちにやってきたマンチカンで、前飼い主さんがペットショップで購入した猫です。うちに来た時から、トイレ以外で便をする子で、未だにトイレ横に置いてる新聞紙の上でしかしません。性格もちょっとした音にもびっくりしたり、一度嫌いだと思った人には、久しぶりに会ってもジャージャー言って懐かないなど、神経質な方だと思います。
        春先の急性腎不全も、その少し前に私が、手術の為に居なかったのが影響したのかなと思っています。
        なるべく、ストレスがかからない環境を作り、腎臓療法食を続けていこうと思っています。ありがとうございました。

  23. うちの10歳になる雄猫は慢性の腎臓病です。5歳くらいからすでに腎臓の数値があまりよくないと言う事でロイヤルカナンの腎臓サポートを与え続けていました。2年ほどまえ尿にストラバイトがあると別の療法食に変えました。でもどんどん痩せ5キロちょっとの体重が3キロほどになり元気もありません。
    またレントゲンやエコー検査も5歳のとき以来やっていません。必要ないものなんでしょうか?
    このまま見てるしか手はないのでしょうか?不安なのに何も出来なくてもどかしいです。

    1. こんにちは。
      可能性としては2つ考えれます。1つは腎臓病が悪化して体重が減ったこと、もう1つは他の病気になってしまった可能性です。
      腎臓病の場合は確かに治療が限られますが、他の病気であれば治療できる病気かもしれません。一度病院で再検査してみることをおすすめします。

  24. 初めまして
    本屋でネコペディアみつけ、内容が面白く思わず購入していまいました

    これからもブログの更新楽しみにしてます!!

  25. 先月、開院される病院のHPから、先生に飼い猫の病気について相談させていただいたものです。その節はありがとうございました。
    腎不全について詳しく解説していただき、とても参考になります。

    相談させていただいた時、初期の腎不全を疑っていましたが、その後、尿検査から問題ないことが分かりました。
    経過は、年2回の定期的な血液検査と尿検査で良いそうです。
    鼻炎の方は、一時期よりは鼻の状態も良くなっていることもあり、詳しい検査はしていません。

    ネット上では慢性腎不全についての情報は多いですが、情報に振り回されることもあると、今回感じました。
    個体差もあるので、信頼できる先生に定期的に診ていただくのが一番ですね。

    1. おはようございます。前に腎不全の猫で質問したことがあるのですが、今度は去年秋に拾った猫が腎不全になってしまいました。まだ一歳くらいなんです
      元気がなく、水をたくさんのみ、食欲もあまりなくなってしまって獣医さんにつれていきました。触診で「お腹にしこりがあります、多分腎臓。。。」っといわれレントゲンの結果右側に大きな腫瘍。左にもありました。猫の腎臓の腫瘍ってあまりないって調べたらあってとてもショックでした。
      BUN140以上、Cre5.5でした。脱水もおこしてて腎臓の腫瘍による腎不全と思われるという診断でした。先住猫にネフガードとカリナール1,2を飲ませてますので、それを飲ませる以外治療はなにもないっといわれました。
      現在ご飯も食べず、ネフガードとカリナール1,2、水素水をスポイトで飲ませてる状態です。じっとうずくまってるか寝てるかの状態なのですが、目頭の白い部分がでてるんです。これってやっぱり体調が悪いせいなのでしょうか。
      寝てはいるようだけど、ゆっくりねれてない感じです。

      獣医さんは2.3ヶ月かなぁっといってたのですが、あまりの状態の悪さに家族全員落ち込んでおります。これからどうなるのかとっても不安です。

      去年の12月に質問した腎不全の猫はお薬があってるのか痩せてはいますが、元気にすごしてます。先生のお返事でとても勇気がでました。

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