よだれかけとしてティッシュを巻いて授乳。幼猫の可愛さは反則的なものがある

一般的な子猫の離乳は4〜7週齢(離乳期調べる)ですが、やむをえない理由でそれ以前に母猫と離れ、人間に育てられる猫も少なくありません。動物病院でも春になると離乳前の子猫が運ばれてきます。寝る間も惜しんでミルクを与えて育て、無事に里親さんが決まると安心します。しかし、1年後には病院嫌いな性格になって戻ってきたという経験は多くの獣医師、保護猫活動をされている方は心当たりがあるでしょう。

初代愛猫ラッキーと小学生の私。ラッキーは病院に連れて行くとシャーシャーが止まりらない猫だった

私が初めて飼った猫も体重100gぐらいの時に保護して猫ミルクで育てましたが、成猫になったら家族以外には心を許さない猫になりました。このように経験的に「早期に母猫と離れた猫は警戒心が強くなると」と考えられてきましたが、研究としてこのテーマを扱った論文がありましたのでご紹介致します。

・早期離乳は猫の攻撃性と常同行動を増加させる

これはフィンランドの研究グループが行っており、オンラインで40猫種、5726頭の猫からアンケートを集めました。結果としては、早期(8週齢未満)に母猫から離乳した猫は12〜13週齢以降に離乳した猫よりも、明らか(有意)に知らない人に対しての攻撃性が高いことがわかりました。また14〜15週齢まで母猫といた猫は常同行動※が少ないことがわかりました。

※常同行動:無意味な行動を反復、長時間行うこと。例:同じ場所を舐め続けて毛が抜ける、布を食べてしまう(ウールサッキング)など

猫の平均出産数は3〜5匹です。離乳が遅い猫は、社会性を学ぶ社会化期(生後3〜9週)を母親だけでなく多くの兄弟と一緒過ごすためよりソーシャルな、知らない人や場所を恐れない性格になると考えられます。

また常同行動の背景には不安やストレスがあります。ソーシャルでない猫は、小さな環境の変化(模様替え)や、短時間の知らない人との接触(宅配員の訪問など)に対して大きな不安を感じて常同行動を起こすのではないかと考えられています。

・できるだけ一緒にいさせてあげよう

現在「8週齢規制」といって、8週齢以前の犬や猫を販売するのはやめよう、というルールの議論が活発です。猫では社会化期が9週齢まで、そしてこの研究では14週齢以降の離乳で知らない人への攻撃性が下がっていますので、やはり早期に母猫と離すことは良い影響を与えないでしょう。

・猫の離乳の時期は?

一般的に猫の離乳時期は4〜7週齢とされていますが、これは離乳食を食べられるようになる時期です。そのため「離乳の時期は子猫が決める」と表現した方が正しいでしょう。人が育てる場合は、哺乳瓶のゴムを噛むようになりミルクを吸えなくなったり、ミルクより離乳食を好むようになったら離乳としましょう。

この研究を読んでいて「14週齢以降で離乳」とありますが、これは3ヶ月半齢ですので大きい子猫は1.5kgぐらいになっています。母猫は小さいと3kgぐらいの猫もいますので、もし子猫が4匹いたらお母さんは大変ですね。子猫が大きくなったら母猫の負担を減らす意味でも離乳食を併用しましょう。

・まとめ

私たちが経験的に、離乳の早いと猫は怖がりになりやすい、ということはやはり関連性があるようです。全ての猫が母親と長い期間一緒にいることはできませんが、可能であればペットショップや里親に出す時も生後3ヶ月齢ぐらいまでは母猫や兄弟と一緒に暮らした方がより社交的な猫になる可能性が高いといえるでしょう。

参考資料

・Early weaning increases aggression and stereotypic behavior in cats.

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